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102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.707

11 分前
読了時間: 3分

オンラインでも対面でもうまくいく。脳科学が教える“会話が弾む習慣②

◇緊張するのは当たり前と認めることが、会話を軽くする第一歩


会話や議論の場に立つと、どうしても緊張してしまう――そんな経験は誰にでもある。

オンラインでも対面でも、「今日はうまく話せた」と思う日があれば、「なんだか噛み合わなかった」と落ち込む日もある。

とくに緊張しやすい人は、次の会議が近づくだけで気持ちが重くなることもあるだろう。


しかし脳科学の視点で見ると、緊張しやすさは“性格の弱点”ではない。

生まれつき備わった性質であり、むしろ脳の働きを高めるチャンスにもなる。

人はもともと、不安や緊張を感じやすいかどうかが半分ほど遺伝で決まっている。心理学の「ビッグファイブ理論」では、性格は五つの因子で構成され、その遺伝率は約50%とされる。


会話の場面で不安を抱きやすい傾向は、この中の「神経症的傾向」によるものだ。未知のものに慎重になり、危険を避けるための大切な性質でもある。だからこそ、「緊張する自分」を否定する必要はない。まずはその特性を受け入れることが、会話を楽にする第一歩になる。


さらに興味深いのは、会話がうまく進むとき、脳の中で何が起きているかという点だ。プリンストン大学の研究では、話し手と聞き手の脳活動を同時に測定したところ、会話が“いい感じ”に進んでいるときには、両者の脳が高いレベルで同調していた。逆に、会話が途切れたり噛み合わなかったりすると、この同調は消えてしまう。


そして、会話が弾むときに鍵を握っていたのは「聞き手の脳」だった。

聞き手は、話し手より先に“予測”や“比喩の理解”に関わる脳領域を働かせていたのだ。つまり、「相手は今こう思っているかもしれない」「それって、こういうことですか?」と先回りして理解しようとする姿勢が、会話の流れをつくる。こうした予測や例え話は、相手に「興味を持ってくれている」と感じさせ、会話を自然に盛り上げる。


この“先読みの力”を支えているのが、脳のワーキングメモリ――いわば「脳のメモ帳」だ。相手の気持ちを推し量りながら話すことは、前頭前野をしっかり使う行為であり、繰り返すほどワーキングメモリは鍛えられる。高齢になるほどこの能力には個人差が出るが、日常的に頭を使い、身体を動かし、社会と関わるほど維持されやすいことが分かっている。


ただし、ワーキングメモリには限界がある。扱える情報はせいぜい3〜4個で、ストレスが強いとすぐに容量が埋まってしまう。神経症的傾向が強い人は、特にこの影響を受けやすい。「今日はテンパった、疲れた!」と感じるのは、脳のメモ帳を使い切った証拠だ。

そんな日は、しっかり眠り、身体を動かして気分転換することが大切になる。


心配性の人は、会話の前に準備をしっかりする傾向がある。

その準備自体が、実は脳にとって良いトレーニングだ。


もし会話がうまくいかなかったとしても、「聞き手の予測力が足りなかっただけ」と軽く受け流していい。人との関わりは面倒に感じることもあるが、「これは脳トレだ」と思って淡々と続けることで、結果的に脳は若返っていく。



 
 
 

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​代表 薬学博士 竹内 久米司

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