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102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.700

10 分前
読了時間: 5分

命を奪う“隠れ脱水”──酷暑は静かに脳を狙ってくる⑧

◇朝食を抜くと、体はすでに“脱水モード”に入っている


「脱水を防ぐ水分補給は、まず“食事”が基本です」 谷口氏はそう強調する。実は、食事を抜いた時点で体は脱水状態に近づいている。

意外に知られていないが、1日に必要な水分の約半分は“食べ物”から補われている。 私たちは1食あたり、食材そのものから約300〜500mLの水分をとり、さらに食べ物を分解する過程で約100mLの水を体内で産生している。

つまり、朝食を抜くと前日の夕食から昼食まで12時間以上“水分をとらない時間”が続く。 夏はただでさえ食欲が落ちやすい。そこに長時間の空腹が重なると、脱水リスクは一気に高まる。

やむを得ず朝食を抜いた日は、普段の水分補給に加えて500mLほど多めに水分をとること。

その際は水やお茶ではなく、塩分を含むスポーツ飲料で電解質を補うとよいでしょう」


◆ 食べ物で水分を補うなら“夏野菜と果物”が最強

水分を多く含む食材の代表は、新鮮な夏野菜と果物。 その多くはなんと全体の90%以上が水分でできている。

中でもおすすめはキウイフルーツ。 水分・糖分に加え、夏に不足しがちなビタミンやミネラルが豊富だ。 特にビタミンCは、熱中症対策の要となる栄養素。

「ビタミンCを摂取すると、暑さに体が慣れる“暑熱順化”が早くなることが研究で示されています。暑さで増える活性酸素を抑え、免疫力も高めてくれる。水溶性なので体外に排出されやすく、こまめに摂ることが大切です」と谷口先生は語る。


◆ 味噌汁は“熱中症対策の万能食”ではないが、食事としては優秀

「味噌汁は塩分がとれるから熱中症対策になる」という噂がある。 しかし、

味噌汁の塩分だけで熱中症対策を期待することはできません。ただし、水分と栄養を同時に補給できる点ではとても優秀。具だくさんにすれば、必要な食事量も確保できます。

暑い日ほど冷たいものばかり食べたくなるが、胃腸の働きが落ちて食欲が低下しやすい。 そんなときこそ、温かい味噌汁で胃腸をいたわることが、結果的に脱水予防につながる。


◆エアコンは“体の外”だけでなく“体の中”も冷やす装置だった


水分補給と並んで熱中症予防の柱となるのが、エアコンによる体温コントロールだ。 しかし実際には、 「そこまで暑くないから」 「手足が冷えるのが苦手」 「電気代が気になる」 といった理由で、必要最低限しか使わない人が少なくない。特に高齢者は暑さの感覚が鈍くなるため、エアコンを控えがちだ。

だが、エアコンは単に体表を冷やすだけの装置ではない。 冷たい空気を吸うことで、体の“中”から血液を冷やすことができる。


肺には、ぶどうの房のような形をした肺胞が無数に広がり、その表面には毛細血管が張り巡らされている。 その面積はなんとテニスコート半分ほど。 ここで冷たい空気を吸い込むと、肺の毛細血管で冷やされた血液が全身を巡り、効率よく体温を下げられる。


寒さを感じるなら長袖を着てでも、室温を下げることを優先すべきです。

 夜間の室内熱中症も増えているため、タイマーオフにせず、一晩中エアコンをつけておくことが推奨される。



◆ 冷たい飲食物の“冷却効果”は一時的。体温を下げる主役はエアコン

冷たい飲み物やアイスで体を冷やしたつもりになっても、その効果は一瞬だ。 胃から腸へ移動すれば、すぐに体温で温められてしまう。

体温を直接下げたいなら、

首の横

脇の下

そけい部(太ももの付け根) など、太い血管が通る場所を冷やす方が効果的だ。

そして最も効率が良いのが、冷たい空気を吸って血液そのものを冷やす方法。

つまり、エアコンの冷気は“体内冷却装置”として非常に優秀なのだ。


◆ 手のひらを冷やすのも効果的。理由は“AVA”という特殊な血管

体温調節に関わるAVA(動静脈吻合)という血管が手のひらには多く存在する。 ここを冷やすと、効率よく体温を下げられる。

方法は簡単だ。 洗面器に水を張り、手のひらを浸すだけ。 ただし、冷たすぎる水は血管が収縮して逆効果になるため、 「気持ちいい」と感じる程度の冷水がベスト。


汗をかかない生活は、熱中症リスクを“確実に”高める

「リスク5 エアコンの効いた部屋にいつもいて、あまり汗をかかない」 「リスク6 運動習慣がない」

この2つは、実は熱中症リスクを大きく押し上げる要因だ。 理由はシンプルで、暑熱順化(暑さに慣れること)ができないから。

涼しい部屋で一日中過ごし、ほとんど汗をかかない生活を続けていると、体は“暑さへの耐性”を失っていく。 その結果、少し暑いだけで体温が上がりやすく、熱中症になりやすい体になってしまう。


1日2〜3回は汗ばむ習慣を取り入れましょう。 涼しい場所で軽い運動をする、湯船につかって汗をかく、辛いものを食べて汗をかく──どれも立派な暑熱順化です。◆ 汗をかくことは“水分をためる力”を育てることでもある

運動にはもう一つ重要な役割がある。 それは、筋肉をつけて“水分を体にとどめる力”を高めること。

筋肉は体の中でも特に水分を多く蓄える場所だ。 しかし運動習慣がなく筋肉量が落ちると、せっかく水分補給をしても体に保持できず、外へ排出されやすくなる。

つまり、 筋肉量が少ない=脱水しやすい体 ということになる。

汗をかく習慣と軽い運動は、熱中症予防のための“体づくり”でもあるのだ。

 
 
 

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​代表 薬学博士 竹内 久米司

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