くめちゃんのつぶやき脳 No.88 脱水症は脳梗塞や肺炎の原因にもなる、健康長寿の大敵⑤
◇高齢者は脱水を起こしやすく、「かくれ脱水」の段階から対処が必要
慢性の脱水症が比較的高齢者に多いのはなぜだろうか。それには以下のような理由がある。
筋肉量の減少が体液の減少に直結することは前述した通りだが、そのほかにも、歳をとればとるほど、様々な要因から脱水症にかかりやすくなることが分かる。
年をとると脳や感覚神経が衰えて、全体として鈍感になってきます。
水分が足りていなくても喉の渇きを感じにくくなり、暑いところで長時間過ごしがちなのも、脱水症につながります。
体温調節機能が衰えて、汗が出なかったり、汗をかきすぎたりすることも脱水症に関わってくる。
さらに、腎臓の機能が衰えると尿を濃縮することができず、せっかくとった水分をどんどん排泄してしまうことも、高齢者が脱水症になりやすい原因の1つだという。
頻尿や失禁を気にして水分摂取を控える人がいること、尿の量を増やす作用がある薬(利尿薬など)を飲んでいる人がいること、食事量が減るために食べ物から得る水分量が減ることなども問題だ。
高齢者は持病を持つ人も多く、加齢により様々な臓器の機能が低下しているため、脱水症を起こしたときのダメージは大きい。そのため、わずかな脱水傾向も見逃さずに、常に意識して脱水症を予防していく必要がある。
そこで谷口先生らの「教えて!『かくれ脱水』委員会」は、軽度脱水である「体重の3~5%減少」の一歩手前である、「体重の1~2%の減少」で、まだ症状が出ていない状態を「かくれ脱水」と呼び、早めの水分補給で脱水症を未然に防ぐことを呼び掛けている。
かくれ脱水に気付かずに本格的な脱水症へと進み、かなり具合が悪くなってからでは、治療が間に合わずに命にかかわることもあります。
医療機関にかかるほどの脱水になる前に、かくれ脱水に気付き、適切な水分補給をしてほしい。
参考資料:谷口英喜著『イラストでやさしく解説!「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本 改訂版』(日本医療企画)