102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.695
- 8月15日
- 読了時間: 3分
命を奪う“隠れ脱水”──酷暑は静かに脳を狙ってくる③
◇その不調、すべて“水不足”のサイン──脱水が臓器を追い詰める瞬間
早めに気づきたい── 脱水症や熱中症の症状は、実は体の内部で起きている“異変の連鎖”そのものだ。
水分が不足すると、まず 血液量が減る。 血液は酸素と栄養を運ぶ生命の物流。 その流れが弱まると、臓器は一斉に悲鳴を上げ始める。
特に影響が強く出るのが 筋肉・脳・胃腸。 この3つに異常が重なるのが、脱水症の典型的なサインだ。
谷口先生はこう説明する。
筋肉の異常 だるさ、脱力感、足がつる── 筋肉に十分な血液が届かず、エネルギーが枯渇した状態。
脳の異常 頭がぼーっとする、頭痛がする── 脳への血流が低下し、情報処理が鈍る。
胃腸の異常 吐き気、腹痛── 胃腸の血流が落ち、消化機能が停滞する。
これらはすべて、熱中症の初期段階(I度) に当たる。 「ただの疲れ」「夏バテ」と思って放置すると、症状は次のステージへ進む。
◆熱中症は“階段状”に悪化する
最新の「熱中症診療ガイドライン2024」では、重症度はI〜IV度に分類される。 IV度は今年新たに追加された“最重度”の段階だ。
◆熱中症の重症度と症状
I度(軽度)──脱水症の段階
めまい、立ちくらみ、生あくび
大量の発汗
こむら返り(筋肉の硬直)
意識は保たれており、自力で水分補給ができる 対処:涼しい場所で休み、水+ナトリウムを補給
II度(中等度)──脱水+軽い体温上昇
頭痛、吐き気、倦怠感、虚脱感
集中力・判断力の低下 対処:医療機関の受診が必要
III度(重度)──重度脱水+意識障害+高体温
意識障害
けいれん発作 対処:入院・加療が必要
IV度(最重度)──深部体温40℃以上+重度の意識障害
•深部体温が40℃を超える
•重度の意識喪失
•場合によっては心肺停止 対処:専門的な冷却ができる医療施設への緊急搬送

◇命を守る最後の判断。『飲めない』『言えない』は即・救急要請
熱中症の最重度である IV度(異常高体温) は、体の中で何が起きているのか。 その答えは、私たちの体をつくる“たんぱく質”にある。
たんぱく質は熱に弱く、40℃を超えると変性が始まる。 これは、卵の白身が熱で固まるのと同じ現象だ。
体温が40℃を超えた状態が続くと── 臓器のたんぱく質が変性し、 多臓器不全が一気に進行する。
命を落とす危険が高まるだけでなく、 助かったとしても 重い後遺症が残ることが少なくない。
特に深刻なのが 脳神経障害。 脳神経は一度変性すると再生しないため、 後遺症が一生残る可能性がある。
だからこそ、熱中症を疑う症状が出たら、 「救急車を呼ぶべきか」 の判断が命を左右する。
◆救急車を呼ぶべき判断基準(2つの“できない”)
① 自力で水分を飲めない、十分な量が飲めない
→ その時点で脱水症が進行しており、重度化の危険が高い。
② 名前・場所・時間が正確に言えない
→ 意識障害が起きている可能性が高く、熱中症III度 と判断される。
呼びかけに反応しない、けいれんしている場合は一刻も早く救急要請。
軽度に見える症状でも、 水分が飲めなければ脱水は加速し、 短時間で重度の熱中症へ進行する。
自分の居場所や名前が言えないのは、 脳の血流が著しく低下している危険信号。 迷わず病院へ搬送する必要がある。
◆高齢者は“症状が出にくい”からこそ、早めの救急要請を
高齢者は、 ・暑さを感じにくい ・喉の渇きを自覚しにくい ・症状がゆっくり進む という特徴があるため、 「まだ大丈夫」 と判断してしまいがちだ。
しかし、体内ではすでに深刻な脱水が進んでいることも多い。
谷口氏は強調する。 「自分たちで対処しきれないと思ったら、迷わず救急車を呼んでください。高齢者は早めの判断が命を守ります」
救急要請に迷った場合は、 #7119(救急安心センター事業) に電話すれば、 症状を伝えるだけで医療の専門家が判断してくれる。











































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