102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.552
あなたは大丈夫? 加齢とともに低下する噛む力、飲み込む力②
◇噛む力と飲み込む力は、安静にしているだけで低下する
噛む力と飲み込む力の低下は、実は、病気やけがで安静しているときにも起こり得るとは、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医歯学専攻老化制御学講座摂食嚥下リハビリテーション学分野の戸原玄教授は語っています。
また
「足を骨折して入院した高齢の患者さんが、退院する頃には口から食べられなくなり、胃ろうで食事をすることになった事例もあります」と話されています。
一見、骨折による入院と物を食べる力には関係がないように思えるが、一体どういうことだろうか。
食べ物の咀嚼には、「覚醒していること」と「体幹機能がしっかりしていること」が重要だからです。
骨折してベッドの上で寝たきりでいると、覚醒状態が不安定となり、さらに体幹の筋肉も衰えてしまう。
こうした患者は、入院して安静にしていることで体幹の筋肉が衰え、咀嚼や嚥下が難しくなり、口からものを食べられなくなってしまったとのこと。
ちょっと安静にしていただけで、口から食べられなくなる可能性もあり得るとは高齢者には恐ろしいことです。
噛む力や飲み込む力を維持するには、日々の活動性を保ち、全身の筋肉を維持することも重要です。
◇噛む力・飲み込む力を失うと栄養不足に直結する
ものをしっかり噛んで食べることができる人とできない人では、全身の栄養状態も変わってくる。
国民健康・栄養調査で、65歳以上の「何でも噛んで食べることができる」人と「それ以外」の人(「それ以外」の人とは、噛んで食べるときの状態について「一部噛めない食べ物がある」「噛めない食べ物が多い」「噛んで食べることはできない」と回答した人。)の栄養傾向を比較したデータでは、「それ以外」の人のほうが低栄養傾向の人(BMI≦20kg/m2)の割合が高かった。
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