くめちゃんのつぶやき脳No.428
102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座
◇脳の大敵は慢性的ストレス⑤
そもそもストレスは、生きていく上での様々な要求に対する正常な心理的・身体的反応です。
言い換えれば、ストレスは自然な反応であり、悪影響だけでなく健康上の利点もあるということ。
体の闘争・逃走反応(ストレスに満ちた状況や、生命を脅かすような状況に不意に陥ったときに起きる一連の反応)は、例えば、捕食動物に追いかけられたときに素早く逃げるためや、暴漢に追いつめられたときに戦うため、大切な人を下敷きにした2トンの車を持ち上げるためなどに、必要なホルモンと化学物質の産生を促し、脳を活性化するのです。
ストレスは、生きるか死ぬかといった状況で役立つだけでなく、健康にとって有益な働きもします。
適度なストレスは、行動を起こすモチベーションになり、仕事を達成するために必要な集中力を高める。また、ストレスの多い状況が終わると、私たちは満足感や達成感を覚えます。
ここで重要なのは、「ストレスの多い状況が終わる」ということです。
ストレスの多い状況が終わらず延々と続くと、脳に悪影響が及ぶことになる。
動脈の内壁にプラークが蓄積して動脈が狭まり長期的なダメージをもたらす上、ストレスのせいで首の筋肉が緊張するため、脳への血流がさらに減る。
慢性的なストレスがニューロンに恐ろしい影響を及ぼすこともある。強いストレスが長期間続くと、新たなニューロンが生まれなくなり、それどころか、既存のニューロンが死に始めてしまう。
慢性的なストレスは、脳組織の老化ももたらし、脳震とうや神経変性疾患に似た形で、ニューロンの寿命を縮める。
ストレスの強い時期を生き延びたニューロンも、健康というわけではない。ストレスはニューロンを過剰に活性化する。この状態が続くと、新たなニューロンの経路が形成されて脳の働きが変わることもあるのです。
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