くめちゃんのつぶやき脳No.422
102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座
◇血管にいったんできたプラークは消えない!?
そもそも動脈硬化が進む理由は、 LDLコレステロールが高いと余ったコレステロールが血管にたまるからです。
血管にコレステロールがたまるというと、水アカのように血管の内壁にこびりつくイメージを頭に浮かべる人が多いようですが、実は、コレステロールは血液に触れる部分ではなく、血管の「中」にたまります。
びっくりされる方も多いのではないでしょうか。
そこで、LDLコレステロールが高いと動脈硬化が進む理由を解説します。
LDLコレステロールの仕事の一つは血管内皮の細胞膜の材料になることです。
家を建ててる建築現場に例えるならば、建築資材の木材のようなものです。
ところが多く供給しすぎて余ると酸化されてしまいます。
建材ならば使われず現場に放置されて雨風に当たって腐食してしまうようなものです。
こうしてできた酸化LDLは体にとって異物とみなされ、免疫システムの一つでもあるマクロファージという異物のお掃除役の細胞に取り込まれます。
マクロファージは血管の壁の中で、たっぷりコレステロールをためてブクブクと太った「泡沫細胞」になります。それによって血管壁が裏側から押し上げられ、血管の内側に盛り上がったプラーク(粥〔じゅく〕腫)というコブができます。
プラークができることで血管壁が分厚くなり、弾力性を失っていきます。
また血管の内腔(血液の通り道)は狭くなり、血液がスムーズに流れにくくなります。やがて何かのはずみでプラークが破けると出血し、そこに血小板が集まって血栓(血の固まり)ができます。
もともと狭くなっていた血管にこの血栓が詰まることで血流が途絶え、心筋梗塞や脳梗塞という致命的な病気が起こるわけです。
では、コレステロールを下げる薬は、このプラークに対してどのように作用するのでしょうか。
そもそもコレステロールは、先ほども話した通り、血管壁の表面ではなく、血管の内皮の裏側にできたプラークの中にたまっているので、血液の中を流れる薬の成分が直接触れることはありません。
いったんできたプラークは消えないのです。
つまり、薬を飲むと、LDLコレステロールが下がることはあっても「血管がきれいになる」わけではないのです。
現在使われているコレステロールを下げる薬には、スタチンのように肝臓でのコレステロールの合成を抑えるものや、コレステロールを材料にして作られて腸管に分泌される胆汁酸という消化酵素の再吸収を抑えるものがありますが、それによって、いったんできたプラークが消えるわけではありません。
だからこそ、生まれつきコレステロールが高い人は大切な血管が狭くなる前に薬の力を借りて、一刻も早くコレステロールを下げるのが得策なのです。
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