くめちゃんのつぶやき脳No.383
◇新型コロナの重症化リスクと運動習慣
日ごろ運動習慣のある人は、新型コロナウイルス感染症を発症した場合の重症化リスクが低いことが、米国の研究で明らかになりましたので紹介します。
5万人を対象にしたこの研究によると、中強度から高強度の運動を週に150分以上行う人たちの重症化リスクは、運動時間が週に10分以下の人たちに比べて、半分以下になるとのこと。
つまり、運動習慣がある人は感染症にかかっても軽く済むということです。
これまで、新型コロナウイルス感染症の重症化の因子としては、高齢であること、男性であること、併存疾患があること、などが知られています。
一方で、運動は免疫機能を高め、日常的に運動している人はウイルス感染症にかかりにくく、また、発症しても症状は軽く、死亡リスクも低いことが知られています。
そのため、日常的に運動習慣のある人は新型コロナウイルスに感染しても重症化しにくいのではないかという考えもありました。
今回の研究は米国最大規模の健康保険会社であるカイザーパーマネンテの研究者たちが、加入者のデータを利用した分析を行い、「日常的に不活発な人」、「ときどき運動する、多少は活動的な人」、「ガイドラインが推奨するレベルの運動(*1)を日常的に行っている人」のそれぞれについて、新型コロナウイルス感染症による入院、ICU(集中治療室)入院、死亡のリスクを比較したものです。
運動習慣に関する調査では、1週間に150分以上の運動をしていたと回答した3118人(平均年齢40.6歳、BMI〔*2〕の平均は28.2)を、米国のガイドラインが推奨する運動レベルを達成していた、と判断しました。
一方で、全ての回で、1週間に10分以下と答えた6984人(49.4歳、32.2)は、日常的に不活発とし、1週間の運動時間が11~149分の範囲にあった3万8338人(47.8歳、31.3)は、多少は活動的とした。
*1 米国の身体活動ガイドラインは、全ての成人に、中強度から高強度の運動を週に150分以上行うことを推奨している。中強度の運動は、軽く汗ばむ程度の運動。 *2 BMI(体格指数、kg/m²)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) 米国の基準では30以上が肥満、日本肥満学会の基準では25以上が肥満。
その結果は、不活発な人は、活動的な人に比べてコロナの死亡リスクが2.5倍になるというものでした。
日常的にガイドラインの推奨レベルを満たす運動をしている人々を参照群とすると、不活発な人々は、新型コロナウイルスに感染した場合に、入院するリスクが2.26倍、ICUに入院するリスクが1.73倍、そして死亡するリスクが2.49倍になりました。
また、報告では重症化との関係が最も強かったのは年齢とのこと。
60歳未満の人に比べ、70代の人の死亡リスクは約10倍、80歳以上では約27倍。
男性、肥満者、糖尿病患者にも重症化リスクの上昇が見られます。
運動不足によるリスクの大きさは、今回検討された種々の要因の中では、おおよそ年齢に次ぐレベルになっています。
ガイドラインに沿った日常的な運動は、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクの低下に強く関係していました。
また、1週間に中強度~高強度の運動を行う時間が11~149分であっても、不活発な人に比べると、重症化リスクは低くなることも示唆されています。
この結果から、コロナ禍であっても、十分な感染予防を行いつつ、日常的に運動することの重要性を示しているといえます。
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