くめちゃんのつぶやき脳No.372
◇運動で脂肪を燃焼させるなら午前より午後、運動前にカフェインを!
運動習慣のある男性を対象としたスペインの研究により、日頃から運動している人では有酸素運動の30分前に多めのカフェインを摂取すると、運動中の脂肪の燃焼が活発になること。さらに同じ運動でも、午前より午後に、それもカフェイン摂取後に行った方が、脂肪の燃焼は大きくなったという報告です。
これまでの研究報告から、運動時の脂肪の燃焼は午前より午後のほうが活発に起こること。
また、持久力を必要とするアスリートの有酸素運動の能力は、朝と夜は低く、午後に最高となることが示されていました。
また、カフェインは、有酸素運動とレジスタンス運動(いわゆる筋トレなど)のいずれにおいても疲労の回復に役立つとされてきました。
さらに、カフェインを摂取すると、運動能力の日内変動が小さくなることなども示されています。
今回の実験では、15人の健康な男性(平均年齢32歳)を対象に、日常的なカフェイン摂取量は1日に50mg未満。全員が、週3回以上の持久力トレーニングを、最低2年間継続していた。
実験では、これらの男性に、1週間おきに計4回、自転車エルゴメーターを用いた運動を午前と午後に実施。運動開始の30分前に、カフェイン飲料(体重1kg当たり3mgのカフェイン粉末を250mLの水に溶かしたもの)またはプラセボ飲料(セルロース微結晶を250mLの水に溶かしたもの)のいずれかを用意しランダムな順番で全て経験してもらった。
自転車エルゴメーターを用いた運動は、午前の場合は8時から11時、午後の場合は17時から20時に実施。まず、最大値より低い強度でウォームアップを開始し、1分間に60~100回転を維持しつつ、負荷量50ワットで3分間継続、その後3分ごとに負荷量を25ワットずつ高めて、ガス交換比が1.0になった時点で5分休憩た。脂肪燃焼の状態を示す最大脂肪酸化率(MFO;g/分)はこの運動の間に測定。
休憩終了後は、先ほどと同じウォームアップを行い、続けて、1分ごとに50ワットずつ負荷を高めて、限界になった時点で休憩しました。この運動の間に、人が体内に取り込むことのできる酸素量の1分間あたりの最大値を示す、最大酸素摂取量(VO2max;mL/kg/分)を測定。VO2maxは持久力の指標として用いられている。
すべての実験が終わってから、運動を行うタイミングとMFOとVO2maxの関係を分析。その結果、プラセボ群、カフェイン群のいずれにおいても、これらの測定値は、午前に比べ午後のほうが高くなった(統計学的有意差あり)。
また、プラセボ摂取後に比べ、カフェイン摂取後の方が、午前、午後ともに、これらの測定値が高くなった。
カフェインは、午前中のMFOの平均を10.7%上昇、午後には29.0%も上昇させた。
VO2maxも同様で、カフェインは、午前中のVO2maxを3.9%、午後には3.2%上昇させた。
以上の結果は、有酸素運動による脂肪酸化率に日中差があることを改めて示したことに。
また、運動前のカフェインの摂取は、運動のタイミングが午前か午後かにかかわらず、脂肪の燃焼と持久力を上昇させた。
さらに、脂肪の燃焼は、午後に、カフェインを摂取してから30分後に運動を開始した場合に最大になることも明らかになった。
今回実験に用いられたカフェインの量は、欧州食品安全機関(EFSA)が2015年に公開した「カフェインの安全性に関する科学的意見」(参考資料:食品安全委員会ファクトシート)において、急性カフェイン中毒などの健康への危険は生じないとされた量(健康な成人において、1回当たりカフェイン200mg〔体重70kgの成人の場合、約3mg/kg〕)。
また、上記のファクトシートには、通常の飲料に含まれるカフェイン量の例として、コーヒーは60mg/100mL、インスタントコーヒー(顆粒製品)は57mg/100mLと記載されており、今回の実験に用いられたカフェイン飲料は、それらより多いカフェインを含んでいた。
原著論文
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