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102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.632

  • 執筆者の写真: 竹内久米司
    竹内久米司
  • 11 分前
  • 読了時間: 3分

◇ 「緑茶の秘密:脳の健康を守る強力な味方


頭部MRI検査で「脳の血流低下」に関連する問題が見つかり、生活習慣の改善や高血圧の治療を勧められることがある、と聞いたことはありませんか?


最近、金沢大学の研究で、約8800人の日本人を調査したところ、緑茶をたくさん飲む人は「脳の白質病変」が少ないことが判明しました(Shibata S, et al. NPJ Sci Food. 2025 Jan 7;9(1):2.)。

これにより、緑茶が脳の健康を守る鍵である可能性が示唆されています。



MRI検査で検出される「白質病変」は、脳の血流不足を示し、進行すると脳卒中や認知症のリスクが高まる可能性があります。

一度現れた白質病変は改善しませんが、生活習慣の見直しや高血圧の管理により、その進行を抑制できると考えられています。


また、緑茶やコーヒーの摂取は、加齢による認知機能低下を緩和する可能性が期待されています。

しかし、高齢者におけるこれらの飲料と脳の健康との関係については十分な研究が行われていませんでした。そこで金沢大学の研究者たちは、認知症ではない日本人高齢者を対象に、緑茶、紅茶、コーヒーの摂取量と脳の白質病変や記憶を司る海馬の容積、全脳容積との関係を調査しました。


日本国内の8地域で行われた「JPSC-AD」という大規模な研究では、65歳以上の8766人の高齢者が対象となりました。

この研究では、2016~2018年の時点で認知症でない参加者の緑茶、紅茶、コーヒー摂取量とMRI画像データが評価されました。


参加者のうち、91.6%が日常的に緑茶を飲み、82.0%がコーヒーを、19.2%が紅茶を飲んでいました。ただし、紅茶摂取者の割合が少なかったため、紅茶と脳の関係についての分析は行われませんでした。


また、緑茶の1日あたりの中央値摂取量は450mL、コーヒーは150mLとされました。これをもとに、参加者を摂取量ごとに4つのグループ(200mL以下、201~400mL、401~600mL、601mL以上)に分類しました。そして、MRI画像から算出された大脳白質病変、海馬、全脳容積について、頭の大きさの違いを考慮した割合を計算し、それらと飲料摂取量との関係が調査されました。


緑茶を飲む人ほど、脳の血流不足を示す「大脳白質病変」の容積比が小さいことが研究で示されました。この関係は、年齢、性別、学歴、BMI(体格指数)、高血圧、コレステロール値、運動習慣、喫煙や飲酒など、様々な要因を考慮したうえでも有意に認められています。


1日あたりの緑茶摂取量と白質病変の容積比を調べたところ、200mL摂取の人に比べて、600mL摂取の人では0.97倍、さらに1500mL摂取では0.94倍と、摂取量が増えるほど白質病変が小さいことが分かりました。一方、コーヒーの摂取については、脳容積や白質病変との関係に有意な結果は得られませんでした。


疫学研究からは、緑茶摂取が認知機能低下を遅らせる可能性が示唆されており、さらに高血圧を改善する効果も確認されています。

緑茶は収縮期血圧を平均6.22mmHg、拡張期血圧を平均2.36mmHg低下させることが明らかになっています。

このことから、高血圧改善を通じて白質病変の進行を抑える役割がある可能性が考えられています。


緑茶が認知症予防に寄与するかどうかはさらなる研究が必要ですが、専門家は1日600mL以上の摂取を目指すことで、脳の健康に役立つ可能性があると提言しています。






 
 
 

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