くめちゃんのつぶやき脳No.369
いま話題の一冊「LIFE SCIENCE(ライフサイエンス)長生きせざるをえない時代の生命科学講義』を読みました。
著者は、2016年のノーベル生理学・医学賞受賞で話題になった「オートファジー」の研究者。オートファジーは、細胞が、内部の物質を分解して再利用するしくみとして知られていますが、最近、老化や病気に、深く関わることがわかってきました。話題の書からシリーズでオートファージについてお話していきます。
◇老化を防ぐ食べ方、細胞内のお掃除役オートファジーの活性化がカギ①
2016年、大隅良典教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで注目されたオートファジー。
みなさんはこのオートファジーが体内でどのような役割を担っているのかご存じでしょうか。
オートファジーは、細胞内を正常な状態に保つために、細胞内で不要となった物質を分解する掃除役で、リサイクル業者のような働きに似ています。分解された老廃物はリサイクルされ、生きるためのエネルギーとなるのです。
このように生命維持に欠かせないオートファジーは一体どのような仕組みで機能しているのか解説していきます。
まず、オートファジーとは細胞内にある不要な物質を分解する仕組みのこと。
自分で自分の細胞を包み込み分解することから「Auto:自ら」「Phagy:食べる」=自食作用と呼びます。
この仕組みは人間などの哺乳類だけでなく、すべての真核生物(核を持つ細胞からなる生物)にみられます。
細胞内には、生命を維持するためのタンパク質やミトコンドリアなど様々な物質が多く存在しています。
それらが古くなったり傷ついたりして細胞内に蓄積されると、細胞は障害を受け全身にさまざまな悪影響を与えることになります。
そこで、このような、不要になった物質の蓄積を防ぐために、細胞内部を浄化し、内部の状態を一定に保ちます(恒常性)。この恒常性維持はオートファージの仕組みで行われます。
オートファジーは、飢餓状態のときに起こりやすく、細胞の中に隔離膜が出現して始まります。そして、周辺のたんぱく質などを包み込んで球状の構造に変わる。
この球が、消化酵素が入った袋とくっつき、中のたんぱく質などが分解されます(図参照)。
オートファジーは飢餓状態での栄養を得る役割以外に「細胞内の掃除役」として注目されてきましたが、最近さらに、それが老化とも関わりが深いとわかってきたのです。
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