くめちゃんのつぶやき脳No.357
◇全粒穀物とアンチエイジングの最新研究が続々と①
最新の研究で、玄米や大麦、全粒粉パン、全粒シリアルなどのいわゆる全粒穀物の健康向上に関するエビデンスが世界的に次々明らかになってきています。
とくに、食物繊維が豊富なことから、加齢とともにリスクが高まる糖尿病や心疾患、がんなどの疾病を幅広く予防する力があることがわかってきました。
全粒穀物の何が効果を示すのか。どのくらいの量を食べるとよいか、その力を得る方法などをシリーズで紹介していきます。
今回は、なぜ世界的に注目されるようになったのかその理由について解説します。
全粒穀物といえば、玄米や全粒粉、大麦やオーツ麦、ライ麦などの未精製の穀物のことです。
以前から「食物繊維が多く、健康食」といわれてきましたが、最新の研究から実際に健康向上に強力に働くこと科学的根拠が明らかになってきました。
全粒穀物や全粒穀物を多く食べている人は心血管疾患などによる死亡リスクや総死亡率が下がることが2016年に報告されました(BMJ.2016;353:I2716 )。
併せて糖尿病による死亡リスクは1日90g*の全粒穀物で半分程度まで低下するとことが明らかになりました。
*糖尿病による死亡リスクを半減させた「90g」とは、全粒粉パン3切れ、全粒シリアル90gに相当する。
糖尿病は、30~40代から増加し始める生活習慣病。
厚生労働省の2019年「国民健康・栄養調査」では、「糖尿病が強く疑われる人」の割合は男性19.7%、女性10.8%(20歳以上)で、年齢が高くなるほどその割合が高くなっていく。
一般に、糖尿病では「なるべく糖質の多い主食を減らす」ことが勧められるが、全粒穀物の場合、
むしろ、ある程度食べたほうがそのリスクが下がるという。
さらに、2019年に、2型糖尿病の発生率と食事要因の関係を53の研究をもとに分析した前向き観察研究結果が報告されました(BMJ. 2019 Jul 3;366:l2368.)。
この研究では、2型糖尿病のリスクを減らす食品として「エビデンスレベルが高い」とされたのは、あらゆる食品中で全粒穀物のみだった。
全粒穀物の摂取量を1日30g(全粒粉パン1切れ、全粒粉シリアル30f)増やすと13%、糖尿病リスクが低下。
また、食品に含まれる成分別でみても、エビデンスレベルが高いとされたのは穀物から摂取する穀物繊維のみで、穀物繊維摂取量を10g増やすとリスクが25%低下。
ちなみに、同じ食物繊維でも、野菜と果物の食物繊維については、有意な相関なしとなった。
さらに、同研究において2型糖尿病リスクを高める食品として、赤身肉(1日100g)、加工肉(1日50g)、ベーコン(1日2スライス)をあげている。
全粒穀物は比較的廉価で、しかも1日30g~90gとることによって病気のリスクを下げられるというのはうれしいニュースです。
全粒穀物に関する研究は2010年くらいから一気に加速され、科学的に信頼性の高い報告が続いております。
米国では心血管疾患予防に関して、オーストラリアでは大腸がん予防、という死亡率を高める病気の予防対策として研究が盛んです。
これまで、概念的に健康食と考えられてきた全粒穀物のエビデンスが次々と明らかになり始めていることは、楽しみなことです。
次回は、全粒穀物の疾患予防効果の要因について解説します
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