くめちゃんのつぶやき脳No.343
◇ダイエットに有効な「ファイバー・インデックス値」と
「サルバブル・ファイバー値」とは
これは、腸のエキスパートとしてこれまで47万人の腸を診てこられた消化器内科医の松生恒夫先生が低カロリーで食物繊維の多い食材を見分ける方法として提案されたものです。とても、有効な指標なのでご紹介します。
新型コロナウイルスの感染拡大がやまず、外出を控える生活が長引くことで、運動不足と過食で、いわゆる「コロナ太り」を気にする方が増えています。そのため、ダイエットを始めた人もいるかと思います。ただし、その際に気をつけたいのが、過度な糖質制限です。
摂取カロリーを抑えるために、主食のごはんやパンなどの穀類を控えると、穀類に含まれる食物繊維の摂取量も減ってしまい、便秘などの腸の不調につながります。現実に常にダイエットを意識していて、主食の炭水化物や糖質の多い果物などを制限している人も多く、特に若い女性で慢性的な便秘に悩んでいる人が多い。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)で目標とされている食物繊維の1日の摂取量は、18~64歳の男性で21g以上、女性で18g以上です。
一方、「国民健康・栄養調査」(2018年版)では、20歳以上の食物繊維の平均摂取量は男性で15.3g、女性で14.7gと、いずれも目標を下回る結果になっています。
そこで、食物繊維はしっかりとりたいけれど、カロリーはなるべく抑えたい。そんな人たちに向けて、提唱されたのがこの「ファイバー・インデックス値」(以下F・I値)です。
F・I値は、食材の100g当たりのエネルギー(熱量)と食物繊維量の比率を示す指標です。F・I値が低いほど、食物繊維が多くて、カロリーが低いことを示します。主な食品のF・I値を表に示します。
同じ食品群でもF・I値が低いもの、高いものがあることが分かります。
例えば、主食であるごはん(精白米)100gのエネルギーは168kcalで、食物繊維量は0.3g。この場合のF・I値は、168kcal÷0.3gで560。玄米ごはんの場合、エネルギーは165kcalで、白米ごはんと3kcalしか変わりませんが、食物繊維量は1.4gあるので、F・I値は118と低くなります。さらに、もち麦と白米を2対1の割合で炊く「2:1もち麦ごはん」のF・I値は75とさらに低くなり、低カロリーで食物繊維が多いことが分かります。また、麺類では、そばのF・I値は66、うどんのF・I値は131なので、うどんよりもそばのほうが低カロリーで食物繊維が多くなる。食パンとライ麦パンの場合も、エネルギー量はどちらも264kcalですが、F・I値は食パンが115で、ライ麦パンが47と、その差は大きく開くことに。
このように、食材のF・I値がより低いものを選ぶようにすれば、上手にカロリーを抑えながら、食物繊維をとることができます。
さらに、表にもある「サルバブル・ファイバー値」(以下、S・F値)は、食材の食物繊維の総量に占める水溶性食物繊維量の割合を示した数字です(分析が不可能なものは空欄)。
食物繊維には「不溶性」と「水溶性」の2種類があり、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は「2対1」の割合でとるのが理想的で、水溶性食物繊維は意識的にとることが大切なため、その目安としてS・F値が有効になります。
S・F値は、数値が高いほど水溶性食物繊維の含有量が多くなる。水溶性食物繊維には、体内の余分なコレステロールなどを吸着し、便とともに排出する働きや、消化吸収を緩やかにして腹持ちをよくするほか、食後血糖値の急激な上昇を抑える働き、大腸内で発酵して善玉菌によって分解されることで腸内環境を改善する働きなどが知られている。そのため、ダイエットや、便秘の改善を期待したいときには、S・F値の高い食材を意識的に選ぶことが有効となる。
表からF・I値が低く、かつ、S・F値が高い食材として、もち麦ごはんやライ麦パン、そば、野菜ではブロッコリーやオクラ、大根、キャベツ、春菊、果実にはキウイフルーツやイチゴがあります。きのこ類や海藻類はS・F値が測定不能なものが多いものの、F・I値はおおむね低いものが多いので、お勧めです。
なお、たんぱく質が多い肉類や魚類には、食物繊維はほとんど含まれていないため除外。ですから、肉や魚などの動物性食品をとる時には、F・I値の低い食材、S・F値の高い食材を意識的に一緒にとることがお勧めとなる。
このF・I値やS・F値は、無理な糖質制限をすることなくダイエットに取り組み、お腹の調子も整えていける有効な指標と思います。
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