くめちゃんのつぶやき脳No.338
◇尿酸の原料「プリン体」が少ないのは肉、魚、牛乳?
クイズで学ぶ「プリン体」
【問題】尿酸値が高い人は、尿酸の原料となる「プリン体」の摂取を控えたほうがいいことが広く知られています。では、肉・魚・乳製品などのたんぱく源でプリン体が少ないのはどれでしょうか?
•(1)肉
•(2)魚
•(3)乳製品
•(4)卵
尿酸値が高くなると、「風が吹いても痛い」といわれる痛風のリスクが上がります。この尿酸の原料となるのが
「プリン体」です。
尿酸値が高い人はプリン体の摂取を控えたほうがいいことは広く知られています。「プリン体ゼロ」の発泡酒などを選んでいるという人も少なくないと思います。
しかし、最近では、プリン体摂取を以前ほど厳しく指導されなくなっています。なぜなら実は食事で体内に入るプリン体は全体の2割程度で、肝臓で合成される方がずっと多いためです。
このため過度に神経質になる必要はないものの、それでも口から入るプリン体を減らせば生成される尿酸の量が減るのですから注意した方がいいのは間違いありません。『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』では、「(高尿酸血症*1の人は)プリン体の1日の摂取量が400mg程度になるよう推奨される」としています。
*1 血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と診断される。
では、プリン体を多く含む食品には具体的にどんなものがあるのでしょうか?
特に多い食品は鶏レバー、まいわしの干物、たらの白子などで、100g中に含まれるプリン体は実に300mgを超えます。続いて豚レバー(同じく285mg)、大正えび(273mg)、まあじの干物(246mg)、牛レバー(220mg)、さんまの干物(209mg)も200mgを超えます。
注意すべきは「レバーと魚の干物、白子」と覚えておきましょう。
日常的に口にする肉や魚は意外とプリン体が多く含まれています。豚ロースは100g当たり90.9mg、豚ヒレは同119.7mg、牛モモは110.8mg、鶏ムネは141.2mgなどとなっています。肉や魚の摂取量が多いと、痛風リスクが高まるという報告もあります。
しかし、たんぱく質をしっかりとるためには肉を食べた方がいいですし、魚はたんぱく質に加えて、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)という良質な油(オメガ3脂肪酸)やビタミンDが含まれています。食べ過ぎは避けつつ、バランスよく食べるように心掛けましょう。
たんぱく源として、上手に活用したいのが、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品です。乳製品はプリン体が少ないことに加え(牛乳は100g当たり0.0mg*2)、尿酸値を低下させる効果が期待できます。高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版の改訂委員長を務めた鳥取大学大学院 医学系研究科 再生医療学分野 教授の久留一郎さんは、「(乳製品に含まれる)カゼインという成分が尿酸の排泄を促進すると考えられます」と話します。
*2 ヨーグルトは同5.2mg、チーズは5.7mg。いずれも『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』より
ニュージーランドの研究では、牛乳を飲んだ後、60分後、120分後、180分後の尿酸値が下がったという報告があるほか(Ann Rheum Dis.2010;69:1677-1682.)、尿酸排泄への影響を調べた国内の研究では、牛乳摂取後に尿酸排泄率が高まったことが確認されています(Int J Clin PharmacolTher. 2011;49(6):366-70.)。
また、米国の4万7150人を対象にしたコホート研究からは、乳製品摂取量が多いグループは少ないグループより、痛風発症リスクが4割低いという報告も出ています(下図)。
このほか、プリン体が少ないたんぱく源の1つに卵(鶏卵)があります。鶏卵はコレステロールが多いことが知られていますが、実はプリン体は非常に少ないのです(100g当たり0.0mg)。
「魚卵はプリン体が多い」という印象を持つ人も少なくないと思いますが、実はそれほど多くはありません。100g中の量はタラコが120.7mgとやや多いですが、カズノコは21.9mg、イクラはわずか3.7mgです。また、魚卵は塩分が多いこともあり、毎日たくさん食べるものでもありません。このため、プリン体という意味では過度に気にする必要はないでしょう。
尿酸対策としては、プリン体が多い食材に注意するだけでなく、飲酒量を抑える、体重を減らす(摂取カロリーを減らす)といった対策も欠かせません。野菜、海藻、キノコ類なども意識的にとり、バランスの良い食事を心掛けましょう。これらは尿酸に限らず、他の生活習慣病の予防でも繰り返し指摘されていることです。単品の丼物などより、小鉢がついた定食にしたり、居酒屋でのつまみではもずくやめかぶなどの海藻類を追加するといったことを日々実践していきましょう。
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