くめちゃんのつぶやき脳No.333
◇「風邪は抗生物質で治る」は間違い
薬の効かない体になることも?
風邪のはやる季節だ。医療機関を受診する人も増加していますが、気を付けなければならないのは「抗生物質信仰」に陥っていないかということ。もし、「抗生物質を飲んでおけば安心」だと思っているのなら、「薬が効かない体」になっている可能性があります。
近年、この問題が世界中で広まっているのをご存じだろうか? 「特に風邪のはやるこの時期は注意が必要です。そこで今回、抗生物質信仰NGルールをお伝えします。
風邪をひき高ネルに加えて咳も伴うとなかなか辛いものがあります。咳は1回で約2kcalを消耗しますので、一晩中せき込むと体力の疲弊はばかになりません。そこで、クリニックに駆け込み「風邪を引いたから抗生物質を下さい」と言いがち。でもそれは間違いなのです。
それは、抗生物質が体に悪いという意味ではなく、そもそも風邪のウィルスには抗生物質は効かないということです。
風邪は、ノドや鼻にウイルスが感染することで炎症を起こす疾病です。抗生物質は細菌には効きますが、ウイルスには効果がありません。当然、新型コロナウイルスやインフルエンザにも効かないのは周知のとおり。
病原体としては、ウイルスや細菌などがあり、大きさや構造が違うのです。そのため、細菌に効く抗生物質は、ウイルスには効かないということです。
ちなみに、ウィルスの直径は約0.1〜0.2μm、ブドウ球菌などの細菌は約0.8〜1μm、赤血球の直径は約6〜8μmです(1μmは1mmの千分の1 1μm=0.001mm)。
怖いのは、抗生物質をムダに使うと体内でクスリが効かない『薬剤耐性菌』が増えてしまうということなのです。
本来、体内ではさまざまな菌がバランスをとりながら生活をしています。
ところが、抗生物質を乱用してしまうと体に必要な菌まで死んでしまい、生存のために変異し薬が効かなくなる薬剤耐性菌が増加。つまり「薬の効きにくい体」になってしまうということです。
すると、細菌による感染症治療はもちろん、手術などでの感染予防を困難にするなど、さまざまなリスクを招くことになります。
実は、いま『抗生物質を無駄に使うな』と、世界中で深刻な問題になっていて、国を挙げて警告をアピールしています。
2019年4月、国連は抗生物質が効きにくい薬剤耐性菌が世界的に増加し危機的状況にあるとして各国へ対策勧告。実際、日本でも2017年に国内で「薬剤耐性菌」によって8000人以上が死亡したとの推計もある(国立国際医療研究センター病院プレスリリース)
ひとつの薬が効かなくなったので別の薬を開発しても、これもまた効かなくなったりと、医療界での耐性菌対策はイタチごっこ状態。菌が近くの菌に情報を与えて耐性菌が広がることもあります。いつの間にか体内に「耐性菌」が存在してしまったために、初めての感染治療で使ったことのない抗生物質でも効かないという困ったケースが出てきています。
本当に必要なときに抗生物質を効かせるためには、必要なときにだけ使うことがとても大切です。
その目安は、それはウイルス感染から細菌感染に変わってからで、「たん」を伴うかどうかです。
ウイルスによる風邪の場合はたんよりもせきが目立ちます。症状が長引いて膿性痰(のうせいたん)つまり緑色の汚いたんが出てきたら、細菌による感染症に移行したのではないかと医師は疑います。
細菌感染ならば、抗生物質が有効になるのです。
ちなみに、肺炎や慢性細菌感染、結核などの細菌感染症でもたんを伴います。
また、抗生物質が処方されたときに注意したいのは、症状が改善したからといって、自己判断で抗生物質をやめたり量を減らしたりしてはいけません。
感染症をぶりかえしてしまう恐れがありますし、薬が減れば体内に生き残っている病原菌が薬に慣れて耐性菌に変わってしまうリスクもあります。
体内から完全に病原菌がいなくなるように、薬は医師から処方された量と回数通りに飲み切ることが大切です。また、薬である以上抗生物質も副作用が出ることがあるということも分かっておくことです。
まずは、抗生物質を無駄に飲まない、飲み方を間違えないことが非常に大切。
風邪やインフルエンザに加え、今年は新型コロナウイルスの脅威が吹き荒れています。手洗い、うがい、マスクなどの感染症対策はもちろん、処方された「薬」は正しい飲み方を心がけ、「薬の効く」体で、あらゆる感染症に打ち勝っていきましょう。
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