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102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.675

  • 11 分前
  • 読了時間: 4分

102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.675

 「畑の肉」を超える力──発酵が引き出す“大豆の真価⑥


◇🫘 「大豆、脳まで救うのか?」


大豆が“脳の健康”にも関わっているかもしれない——そんな気になる話を続けていこう。


大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることで知られている。


前述の中本先生らがNILS-LSAのデータを使って行った研究(Eur J Clin Nutr. 2018 Oct; 72(10): 1458-1462.)では、60歳以上の女性を対象に、豆類・大豆製品・イソフラボンの摂取量と認知機能との関係を調べている。


その結果、これらをよく食べている人ほど認知機能障害になりにくいことが分かった。


具体的には、摂取量が多いグループでは、認知機能障害の発症がおよそ半分に抑えられる傾向が見られたという。


オッズ比で見ると、

•   豆類:0.48

•   大豆製品:0.51

•   イソフラボン:0.55

と、どれも“しっかり食べているほどリスクが下がる”という結果になっている。

大豆は「肉の代わり」どころか、「脳の守り神」になり得るのかもしれない。


認知機能の評価には、医療や研究の現場でよく使われるMMSE(ミニメンタルステート検査)が用いられている。

このテストでスコアが23点以下の場合を、研究では**「認知機能障害あり」**と定義している。

MMSEは、

•   記憶

•   見当識(今日が何日か、今どこにいるかなど)

•   言語

•   計算

といった、日常生活に欠かせない脳の働きを幅広くチェックするテスト。

その基準で見ても、大豆やイソフラボンをしっかり摂っている人は、認知機能の低下が起こりにくい傾向があったというわけだ。



🌙 「更年期の“ホルモンの谷”を、大豆は埋めてくれるのか?」

女性は更年期に入ると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌がぐっと減っていく。

この“ホルモンの谷”が、脳の神経細胞にも影響を与え、認知機能の低下につながることがあると考えられている。

そこで注目されているのが、大豆に含まれるイソフラボン。

イソフラボンはエストロゲンとよく似た構造を持ち、減っていく女性ホルモンをそっと補うように働く可能性がある。

その結果、脳の神経を守り、認知機能の低下をゆるやかにする働きが期待されている。


🧬 イソフラボンは“どの受容体”に効くのか?

中本氏は、イソフラボンの働きについて次のように説明している。

•   エストロゲンの受容体には**α(アルファ)とβ(ベータ)**の2種類がある

•   イソフラボンは特に**エストロゲン受容体β(ERβ)**に結合しやすい

•   このERβは中枢神経系に広く分布している

•   エストロゲンは認知機能の維持に役立つ可能性が示されている

つまり、イソフラボンはエストロゲンに似た作用を通して、脳の働きを支える“代役ホルモン”のような存在になり得るということだ。

中本先生の言葉をまとめると、

「イソフラボンはエストロゲンに似た構造と作用を持つため、認知機能に良い影響を与える可能性がある」

ということになる。


🧩 「海馬の“10年の老化”に、大豆はどこまで踏み込むのか?」

らに興味深いのは、同じくNILS-LSAのデータを使った研究(*3)で示された、イソフラボンと海馬の萎縮との深い関係だ。海馬は記憶をつかさどる脳の重要な部位で、ここが萎縮すると記憶力の低下につながりやすいことが知られている。

この研究では、65歳以上の人を10年間追跡し、イソフラボンの摂取量と海馬の変化を調べている。その結果、

イソフラボンをよく摂っている人ほど、海馬の萎縮が有意に抑えられていた。

つまり、脳の“記憶中枢”がゆっくり老化していくようなイメージだ。


🧠 生活習慣を調整しても残った「イソフラボンの効果」

この研究(Eur J Nutr. 2025 Apr 9; 64(4): 151.)では、結果に影響しそうなさまざまな要因も丁寧に調整している。

•   性別

•   年齢

•   BMI

•   学歴

•   既往歴

•   身体活動量

•   喫煙

•   アルコール摂取量

•   総エネルギー摂取量

これらをすべて考慮したうえでも、イソフラボン摂取量が多い人の海馬は萎縮しにくいという傾向がしっかり残った。

海馬が萎縮したからといって、すぐに認知症になるわけではない。


ただ、海馬の萎縮は認知症と関連することが分かっているため、萎縮をゆるやかにできる可能性があるというのは大きい。



🌱 「大豆を食べる」という日常の積み重ねが、脳を守るかもしれない

イソフラボンを含む大豆製品を習慣的にとることで、脳の健康維持につながる可能性がある。脳の老化スピードは、遺伝だけでなく、生活習慣の影響を強く受けることが分かっている。

だからこそ、

日々のバランスのよい食事に“ちょっと大豆を足す”

という小さな工夫が、長い目で見ると脳の健康を支える一つの方法になり得る。

味噌汁、納豆、豆腐、きな粉、豆乳——どれも日本の食卓に自然に溶け込むものばかり。無理なく続けられるのも大豆の強みだ。

 
 
 

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