くめちゃんのつぶやき脳No.325 クイズで学ぶ「肝機能」
健診結果の肝機能値の見方に関する問題
◇酒飲みなら気になる「γ-GTP」、下げるにはどうする?
今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
【問題】酒飲みの多くが気にする肝機能検査の項目に「γ(ガンマ)-GTP」があります。このγ-GTPについて、間違った説明は次のうちどれでしょう。
•(1)飲酒により上昇する
•(2)脂肪肝では上がらない
•(3)胆石や胆管の病気で上がることがある
中高年齢層の方なら、健康診断のγ-GTP、ALT、ASTなど、肝機能検査の数値が気になる人は少なくないでしょう。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるだけあって、多少肝機能の数値が悪くなったくらいでは自覚症状が出ないのが怖いところです。「とりあえずは問題ないから」と放置し続けるうちに、肝硬変、そして肝臓がんなどに至るという事態は避けたいところです。
肝機能の数値の中でも、気にする人が多いのが「γ-GTP」。
酒飲みはγ-GTPが高くなることは広く知られており、酒好きには気になる数値です。
肝臓専門医で自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授の浅部先生は、「γ-GTPは肝臓の解毒作用に関係する酵素で、飲酒により上がります。多くの健診で調べられるので、これで引っかかる人は多くいます。このため、お酒をよく飲んでいる人でγ-GTPが高いという人は、酒量を減らすのが対策の基本となります」と話しています。
厚生労働省は「健康日本21」の中で適度な酒量(適量)として1日にアルコール20g程度を推奨しています。
これはビールなら中瓶(500mL)1本、日本酒なら1合(180mL)程度、アルコール度数25度の焼酎なら0.6合(110mL)程度、ワインならグラス2杯程度に相当します。酒飲みでγ-GTPが高い人は、日々の飲酒量をこの適量まで抑えましょう。
ただし、γ-GTPが上がる原因はアルコールだけとは限りません。脂肪肝になっても上がります。
また、胆石、胆管の病気、薬の影響で上がることもあります。お酒を控えても数値が下がらない場合、アルコール以外に原因がある可能性が高くなりす。
では、γ-GTPはいくつ以上になるとまずいのでしょうか。
基準値(基準範囲)を気にする人が多いのですが、そもそも基準値とは90%くらいの人が入るという意味で、少しでも超えたら異常というわけではありません。
特にγ-GTPの基準値は曖昧で、検査機関によって50~85(U/L)くらいまでのばらつきがあります。
それだけ幅があると判断に悩みますが、γ-GTPの数値が3ケタになったら受診をお勧めします。ただし、基準値を1割ほど超えているくらいなら過度に心配しなくてもいいと考えられています。
大切なのは前回からの変化です。毎年ジワジワと上がり続けているようなら要注意。脂肪肝が進んでいるのかもしれませんし、何か改善すべきことがある可能性があります。
つまり、γ-GTPが基準値を少し超えているくらいなら神経質になる必要はありませんが、毎年上がり続けるようなら注意が必要ということです。
そのためにも定期健康診断は、きちんと受診しその結果を記録するなり保存しておくことが大切です。
私は講座でも公開していますが30歳代から現在まで40数年分の毎年1回から2回の検査結果をすべてPCに取り込んで管理しています。
私の場合、体重が60kgをこえると、血糖値のさがりが悪くなったり、中性脂肪の値が高めになることが明らかになっています。ですから、日々、体重管理をすることで健康を維持しています。健診結果の推移をみることで自身の健康管理の指標になるのです。
なお、γ-GTPを下げるため、健康診断の前だけ禁酒する人もいますが、それはやめた方が賢明です。
普段は毎日お酒を飲んでいるのに、検査の前だけ1週間から2週間も禁酒するとγ-GTPは下がりますが、それはその人の実力ではありません。
あくまで病気を見つけるために検査しているのであって、数値を下げることが目的ではありません。
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