くめちゃんのつぶやき脳No.318
◇1日の歩数が多いほど死亡リスクはさがるが、速さは無関係
4000歩に比べ8000歩では死亡リスクが半減
1日の歩数が多い人ほど死亡リスクが低いことが、40歳以上の米国人を対象とする観察研究で明らかになりました。
1日4000歩の場合と比べ、6000歩歩く人では死亡リスクは低下し、8000歩ではほぼ半減していました。一方で、歩く速さは死亡リスクに影響しないことが判明しました。
「1日に1万歩歩くことが健康に良い」と長いこと信じられてきました。しかし、実はこれを支持するデータは数少ないのです。また、1日の歩数が多い人の方が死亡リスクが低いことを示した研究はいくつかありますが、これも、高齢者や慢性疾患の患者などを対象とした研究が多く、一般的な人々における歩数と死亡リスクの関係は明らかではありませんでした。
そこで、米国立がん研究所などの研究者たちは、米国の一般的な40歳以上の人々を対象に、1日の歩数、歩行強度(1分当たりの歩数、すなわち歩く速さ)と、死亡との関係を4840人で調べています。
加速度計のデータが得られた4840人の平均年齢は56.8歳、54%が女性で、36%が肥満者(BMI〔肥満度の指標となる体格指数〕が30以上)でした。加速度計を装着した期間は平均5.7日間、1日当たり14.4時間で、1日当たりの平均歩数は9124歩。
1日当たりの歩数が少ない人に比べ、歩数が多い人には、以下の特徴がみられた。・年齢が若い、・BMIが低い、・食事の質が低い、・学歴が高い、・飲酒者が多い、・併存疾患(糖尿病、心臓病、がんなど)の有病率が低い、・運動制限のある(歩行の継続が困難または杖などが必要)人が少ない、・健康状態が良くないと申告した人が少ない。・喫煙率には差は見られなかった。
平均10.1年の追跡期間中に、1165人が死亡。うち406人が心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞など)による死亡で、283人はがんによる死亡。結果に影響を与える可能性のある、年齢、性別、人種、学歴、食事の質、飲酒習慣、喫煙歴、BMI、自己申告された全般的な健康状態や、運動制限の有無、併存疾患の有無などを考慮して、歩数・歩行強度と死亡リスクの関係を分析。
1日の歩数が4000歩の人を対象群とすると、2000歩の人の総死亡リスクは高く、6000歩から1万6000歩までの人の死亡リスクは低くなった。
歩数が多い人ほど死亡リスクが低下、8000歩で半減という結果です。
心血管疾患による死亡、がんによる死亡も同様で、いずれも、歩数が多い人ほど死亡リスクが低下する傾向が認められました。この傾向は、性別、年齢層別、人種別にグループを分けて検討しても同様に認められました。
一方、1日の歩数を考慮した上で歩行強度と死亡リスクの関係を検討しましたが、両者に有意な関係は認められなかった。
原著論文
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