くめちゃんのつぶやき脳No.267 ◇新型コロナの感染者数は報告の50倍以上? 抗体検査から判明
米スタンフォード大学などの研究者が、米カリフォルニア州サンタクララ郡で、3000人を超える有志の住民に同ウイルスの抗体検査を行ったところ、その時点までにPCR検査で判明していた感染者数の50~85倍の人々が、既にこのウイルスに感染していた(抗体を獲得していた)と推定されるとの論文を公開しました(*1)。
新型コロナウイルスに感染しているかどうかはPCR検査で確認されています。
この検査は、体内にウイルスが存在するかどうかを調べるもので、主な対象は、新型コロナウイルス感染が疑われる症状のある患者と、そうした患者の濃厚接触者。発症から時間がたち、体内のウイルスの勢いが弱まって症状が消失すれば、PCR検査も陰性になります。
一方、最近話題の血清抗体検査は、新型コロナウイルスに感染した患者の体内で、ウイルスを排除しようと免疫系が働いたことによって生じた抗体を検出するもの。
多くの患者の血液中に抗体が認められるようになるのは、発症から2週間後あたりと考えられています(*2)。抗体検査で陽性の状態が持続する期間は、まだ、不明ですが数カ月から数年と考えられています。
したがって、住民に対して血清抗体検査を行えば、次の3つの例における新型コロナウイルス感染歴を知ることができます。
●PCR検査が陽性となり診断が確定した後、治癒して抗体を獲得した元患者
●発症してもごく軽い症状しか出なかったため、診断されないまま抗体を獲得した感染者
●感染しても無症状だったため、感染にまったく気付かず抗体を獲得した感染者
抗体陽性率(抗体保有率)は、集団の中に存在する、新型コロナウイルス感染歴を持つ人の割合を示します。
今回、研究者たちは、カリフォルニア州サンタクララ郡(推定人口193万8000人)の住民における新型コロナウイルス抗体陽性率を調べようと、試験に応募した3285人選び、同伴した小児889人も参加。
これらの人々を対象に、2020年4月3日から4日まで、郡内3カ所でドライブスルー形式で採血を行い、標本を検査施設に送って、キットを用いた検査を行いました。
現在のコロナ渦も人々に自然に抗体ができるまでは収束するのに時間を要することを示していると言える。
*1 COVID-19 Antibody Seroprevalence in Santa Clara County, California. Bendavid E, et al. MedRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.14.20062463
*2 国立感染症研究所「迅速簡易検出法(イムノクロマト法)による血中抗SARS-CoV-2抗体の評価」令和2年4月1日
Comments