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くめちゃんのつぶやき脳No.288 ◇子どもの食べ物の好き嫌いは成長しても治らない?

食べ物の好き嫌いが多い子どもでも、時が経てば何でも食べるようになるだろうと期待している親には残念な研究結果が報告された。

米ミシガン大学C.S. Mott小児病院のMegan Pesch氏らによる研究から、4歳時に食べ物の好き嫌いが多かった子どもは、9歳になっても食べられない食品が多く、好き嫌いは成長過程で現れる一過性のものではなく、その子どもの特性である可能性が示された。

 この研究は、317組の低所得世帯の母子を対象に、子どもが4歳のときから9歳を迎えるまで追跡調査したもの。

Pesch氏らは、子どもが4、5、6、8、9歳時の食生活と、子どもに食べ物を与える際の母親の態度について、質問票を用いて調査した。

その結果、初めて出会った食品を、時々嫌がることはあっても基本的には食べようとする子どもが全体の57%(181人)を占めていた。

また、親が用意した食べ物は何でも食べるという子どもの割合は29%(92人)であった。残りの14%(44人)は、食べ物の好き嫌いが激しい子どもで、4歳から9歳まで、食べたことのない食品は常に拒絶し、決まったものしか食べないという生活を続けていた。

また、こうした子どもの母親には砂糖や脂肪の多い食べ物を制限する人が多かったが、親が子どもの食事をコントロールしようとすればするほど、子どもの好き嫌いが強くなる傾向も見出された。  一方で、今回の研究結果には、希望を持てる点もあった。例えば、食べ物の好き嫌いが多いからといって、子どもが低体重になるわけではなかった。また、食べ物の好き嫌いは子どもの特性であり、親の育て方に問題があるわけではない可能性も示された。

Pesch氏は「子どもの食べ物の好き嫌いに向き合うのは、親にとってかなりのストレスになり得る。でも、それは親のせいではない。子どもが持って生まれた性質が要因の一つとなっているようだ」と述べている。  ただし、「子どもの食べ物の好き嫌いに対して親が何もできないわけではない」とPesch氏は強調する。この研究は各家庭を追跡調査しただけに過ぎず、なんらかの介入を行って子どもたちの習慣を変えられるかを検証したわけではないからだ。

この研究に関する付随論評を執筆した米デューク大学デューク摂食障害センターのNancy Zucker氏は「質問票に対する母親の回答データに基づくと、食べ物の好き嫌いが多い子どもたちには、感情のコントロールが苦手な傾向が見られた」と指摘し、こうした子どもたちに食卓で指図しても効果はなく、子どもたちは心を閉ざしてしまうだけだとしている。

 Zucker氏も、食べ物の好き嫌いが多いのは子どもの特性によるところが大きいという点に同意し、「こうした子どもは自分への害を回避したいとの考えを持ちやすい。食べるということは異物を体内に入れる行為であり、バリアが壊されるように感じて食べられないのかもしれない」と考察している。  では、親はどうしたら良いのだろうか?  Zucker氏は、子どもと一緒に買い物に行き、食事の準備をするなどして、食事が楽しい経験となるようにすることで、子どもの食べ物に対する気持ちが前向きになる可能性はあるとしている。

Pesch氏もこの意見に同意を示すが、ただし、穏やかに導くことが大切であり、皿洗いの強要などはしてはならないと注意を促す。  なお、今回の研究では、食べ物の好き嫌いが多い子どもに低体重などの有害な影響は認められなかった。しかし、Zucker氏は栄養面での質の低さや慢性的な便秘などの問題が起こり得ると指摘している。

原著論文はこちら

Carmen Fernandez , et al. Pediatrics. 2020 Jun. [Epub ahead of print]

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