くめちゃんのつぶやき脳No.257 ◇我慢した「おなら」は どこえいくの? ②
前回からの続きです。
前回解説したことをまとめると、
おならの成分には、排出を我慢することで腸内に残るものと、腸管を通じて体内に吸収されるものがある。腸管で吸収されないのは窒素。硫化水素はごく微量しか吸収されないということでした。
では、おならを我慢することで、体にはどのような影響があるのでしょうか。
日常的には、おならをいったん我慢しても、次第に我慢が難しくなり、かえって大きなおならになってしまう経験をした方はいらっしゃいませんか。
これは、おならを我慢していると腸が張って動きが悪くなり、便が停滞することで、ますますガスがたまるという悪循環になるからです。
食物繊維の摂取が不足して便秘がちな人は、大腸の壁が外側に向かって袋状に飛び出す「大腸憩室」ができやすい。
ガスで腸が拡張した際に、腸壁の弱いところが膨らむのではないかと考えられています。
大腸憩室が炎症を起こすと、穴が開いて腹膜炎になることもあるので、おならの我慢は禁物というこになりますが・・・。
体への悪影響が心配なのは、硫化水素です。硫化水素は青酸化合物とほぼ同じ毒性を持つ有毒ガスで、1000ppmの濃度で即死すると言われてます。腸の状態が悪いときは大腸に2000ppmも存在することがあるという。これはびっくりですね、そんな化学兵器のような有毒ガスなら、一刻も早く排出しないと考えるのが人情ですね。
でも、あわてなくても大丈夫です。
生死を左右するほどの大事には至らないようです。
腸から全身に回ってしまった場合は死んでしまいますが、大腸の腸壁の粘膜には硫化水素を解毒する酵素が備わっていて、腸管から多少吸収されたとしても肝臓で解毒されるため、硫化水素が全身を回ることはないような仕組みになっているのです。
肝臓の初回通過効果という優れた働きによるものです。
どうやらおならを我慢しても一時しのぎに過ぎず、あまり良いことはなさそうです。それなら、おならをなるべく増やさないようにするには、どうすれば良いのかが大切になります。
そのためには、
とにかく日頃から便をすっきり出すこと。
そのためにも、自分の腸に合った食物繊維をとることが、腸の健康にとってとても大事になります。
食物繊維は、緑黄色野菜や根菜、イモ類、海藻、玄米など、多様な食品から摂取できますが、ものによってはかえってガスが生じるなど、腸内環境を整える上で人それぞれ相性があるのです。
色々な食物繊維を試して、お通じやガスの調子を見ながら、自分に相性の良いものをみつけてみましょう。
おならに悩む人は意外に多いようです。
中にはそれが原因で仕事を辞めた人もいるそうですよ。
最後に「おなら博士」という異名を持つ広島大学病院感染症科、大毛宏喜教授が提唱する「おならを増やさない五カ条」を参考にしてください(図参照)。