くめちゃんのつぶやき脳No.254 ◇妊娠中の有害な経験と5歳時のADHD症状との関連
これまで妊娠中の有害なライフイベント(精神的につらい経験など)の経験は、子供のADHD(注意欠陥多動障害)と関連があるといわれています。
スウェーデン・カロリンスカ研究所の調査結果からも、妊娠中の有害なライフイベントが、子供のADHD症状との関連が明らかになりました。
調査はノルウェー母子コホート研究(Norwegian Mother and Child Cohort Study)に参加した子供3万4,751例(6,427例の兄弟姉妹を含む)のデータを収集。
母親からは、妊娠中に特定のライフイベントを経験したかどうかの報告を収集。
5歳時のADHD症状は、Conners' Parent Rating Scale-Revised(CPRS-R)簡易版を用いて評価。
その結果
・有害なライフイベントに曝露した子供では、5歳時のADHD発症
リスクが高かった。
なかでも最も影響が大きかったのは金銭的な問題だという。
また、最も影響が小さかったのは親しい人の喪失であった。 ・母親がつらいまたは困難な経験をした場合には、イベント数に
応じてADHDスコアが上昇した。
著者らは「本結果では、妊娠中の有害なライフイベントと子供のADHD症状との関連性が示唆された」としている。
原著論文はこちら
Rosenqvist MA, et al. J Child Psychol Psychiatry. 2018 Oct 27. [Epub ahead of print]
妊娠中に受ける精神的なダメージがADHDの発症リスクを高めるということからも、妊娠中は家族の愛情や周囲の温かな見守りなど、穏やかな環境で過ごすことの大切さが十分にうかがわれます。
胎児は健康に生まれる権利を持っています。
私が警告している「経皮毒」では、胎児が母体を通じて環境中の有害化学物質に曝露されることにより、その赤ちゃんのその後の人生に大きな障害を与える可能性があることをこと懸念しています。
特に受胎3カ月以内で胎児の脳の神経ネットワークを決定する設計図が出来上がります(遺伝子発現)。
この時期に有害化学物質の影響を受けると、曝露時期や曝露量、曝露期間、化学物質の種類などにより様々な影響を与えることにつながります。
近年、増加傾向にあるADHDやLD(学習障害)、切れやすい、いじめ、差別などの子どもたちの異常行動の多発する原因の一つにつながっているとみています。
また、脳神経系発達障害のみならず、内分泌や免疫系などの遺伝子発現時期に曝露されることで、原因不明のアトピーや、また生殖障害など発生とも関連しています。