くめちゃんのつぶやき脳 No.226 ◇赤肉と鶏肉、乳がんリスクはどちらが高い?
またまた、肉の摂取とがん発症リスクに関する最新の報告を紹介します。
肉を食べると乳がん発症リスクは上昇するのか。
これまで因果関係が言われながらも、一貫性のあるエビデンスが示されていなかった肉と乳がんの関係について、米国・Columbia Mailman School of Public HealthのJamie J. Lo氏らが、4万2,000例超の女性を平均7.6年間追跡した調査結果を発表した。
赤肉(red meat)の摂取量が最も多い群は最も少ない群に比べて浸潤性乳がんのリスクが1.23倍高く、一方で鶏肉は最も多く食べる群が最も少ない群に比べて同リスクは0.85倍と低く、赤肉の代わりに鶏肉を食べることで乳がんリスクが低下する可能性があることが示唆されたという。
なお調理法についての関連性は観察されなかったとしている。 研究グループは、各種の肉摂取量、肉関連変異誘発物質と浸潤性乳がん発症との関連を調べるため、「Sister Study」に参加した4万2,012例から、各種の肉摂取量と調理方法の情報を入手し解析した。
参加者は、2003~09年に登録されBlock 1998 Food Frequency Questionnaireを完了し適格基準を満たしていた。 各種の肉曝露および肉関連変異誘発物質の曝露を算出し、浸潤性乳がんリスクを、多変量Cox比例ハザード回帰法にて推算した。 主な結果は以下のとおり。 ・追跡期間平均7.6年間において、4万2,012例の被験者のうち、浸潤性 乳がんと診断されたのは試験登録後1年以降の時点で1,536例であっ た。
・赤肉の摂取量増加は、浸潤性乳がんリスクの上昇と関連していた。
・一方で、鶏肉の摂取量増加は、浸潤性乳がんリスクの低下と関連し ていた。
・赤肉摂取と鶏肉摂取を固定していた置換モデルにおいて、赤肉摂取 を鶏肉摂取に切り替えると、浸潤性乳がんリスクは低下する関連が
認められた。
・調理方法(ヘテロサイクリックアミンや赤肉摂取に由来するヘム 鉄)と、乳がんとの関連は観察されなかった。
原著論文はこちら☟
Lo JJ, et al. Int J Cancer. 2019 Aug 6. [Epub ahead of print]