くめちゃんのつぶやき脳 No.150 ◇人生を支配するホルモンとは?!
『できる男』と言われて何を思い浮かべるだろうか?
年収、地位や名誉、そして女性にモテること…。
これらをすべてクリアするには何がカギなのだろうか。
2019年2月18日、日本抗加齢学会が主催したメディアセミナーにおいて、獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科井手 久満氏准教授が、「男性のための理想的なライフスタイル」について興味ある講演がありました。
その概要を紹介します。
・テストステロン値の高い男はなぜ成功するのか
井手先生によると、『できる男』の象徴は、冒頭でも述べた事柄のほか、「スポーツ万能」、「性機能が強い」、「健康寿命が長い」などであり、これらに共通するのがテストステロン値の高さだという。
証券会社に勤務するイギリス人男性の年収を比較した研究によると、テストステロンが高い男性の年収は、低い男性と比較して3~5倍も多いことが明らかになった。
また、テストステロン量は骨格でも判定が可能で、人指し指より薬指の長い男性で高値ということが、さまざまな人種のデータによって確証を得ているという。
テストステロンは、造血作用や男性ホルモンを合成しているとされる海馬での認知機能制御など、多くの作用が報告されている。
しかし、個人差や日内変動がとても大きく、ストレスや飲酒などにも左右される物質である。
たとえば、恋愛過程でも、デートから真剣交際、婚約から結婚に至る過程で徐々に分泌が減少し、子供が生まれ、添い寝をするなどでも低下することが立証されている。
・メタボリックシンドロームとテストステロンの低下
近年、男性の更年期が取り沙汰されるようになり、うつとの関連が理解されるようになった。
さらには、糖尿病をはじめとするメタボリックシンドロームや心筋梗塞にも影響を及ぼすことが徐々に明らかになってきている。 そこで、先生は健康な中年男性のメタボリック因子と心血管疾患・心不全との関連について解説。
メタボリック因子が多く、テストステロンが低下している症例にテストステロン補充療法を行った症例の体重、HbA1c、収縮期血圧などのデータを示した。
テストステロンの補充によって、それぞれが体重や腹囲の減少、血圧やHbA1cが有意に改善した。
さらに骨密度や排尿状態の改善にも効果があるとする一方で、補充による有害事象として、多血症、睡眠時無呼吸症候群、肝障害、不妊症などが挙げられるので注意が必要と、コメント。
・アプリを活用した対策
テストステロンの管理にはメタボリックシンドローム予防が重要であることから、医療機関を介した食管理システム(ヘルスログ)の開発が進められている。
患者には、活動量をチェックするためのUP2(ブレスレット型装置)を身に付けてもらい、日々の食事記録をスマートフォンで記録。
写真から摂取カロリーが計算される。将来的にはLINEを活用することで、共有した情報を基に管理栄養士から食事アドバイスも受けられるようになるという。
このような背景を踏まえ、まずは、「自身によってテストステロンを低下させるリスク因子(喫煙や肥満)を理解し、リスク因子を排除することが大切である」と、先生は締めくくった。
参考
日本抗加齢学会 http://www.anti-aging.gr.jp/