くめちゃんのつぶやき脳 No.99 ◇コーヒーによる寿命の延長効果は1日何杯まで?
コーヒーにはさまざまな健康効果が報告されている。
しかし、1日に何杯飲めば効果が出るのかこれまで不明。今回、米国立がん研究所(NCI)のErikka Loftfield氏らが行った研究により、コーヒーの摂取量が多い人は早期死亡リスクが低下し、この効果は1日8杯以上のコーヒーを飲む人でも認められることが分かった。
また、こうしたコーヒー摂取による寿命の延長効果は、カフェインの有無にかかわらず認められたという。 この研究は、英国の地域住民を対象とした大規模なコホート研究である英国バイオバンクに参加した成人49万8,134人(平均年齢57歳、女性54%)を対象に、2006年から2016年まで追跡してコーヒーの摂取量と死亡率との関連を調べた。なお、対象者の78%にはコーヒーを飲む習慣があった。
10年以上の追跡期間中に1万4,225人が死亡した。
解析の結果、コーヒーの摂取量が多いと全死亡リスクは低下することが分かった。
コーヒーを全く飲まない人に比べて、1日8杯以上飲む人は、追跡期間中に死亡するリスクが14%低く、1日6~7杯飲む人はリスクが16%低かった。
一方で、1日1杯以下の人では全死亡リスクの低下は6~8%にとどまっていた。 また、コーヒーの摂取による寿命の延長効果は、レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーだけでなく、カフェインレスコーヒーでも同様に認められた。
さらに、カフェインの代謝に関係する遺伝子多型の違い(カフェインの分解が遅いため多くは飲めない人、あるいは代謝が速く多く飲める人)で効果に差はみられなかった。 このことから、Loftfield氏は「コーヒーにはカリウムや葉酸をはじめ、身体に影響を及ぼす化学物質が1,000種類以上含まれている。
今回示されたコーヒー摂取による早期死亡の抑制効果は、カフェイン以外の成分によるものである可能性が高い」と説明している。また、この結果はコーヒー好きには朗報だが、コーヒーを飲まない人が寿命が延びることを期待して、わざわざ飲み始める必要はないと付け加えている。 米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センターの栄養士であるSamantha Heller氏は「多くの植物性食品と同様に、コーヒー豆にはポリフェノールが豊富に含まれている。
ポリフェノールには抗酸化作用や抗炎症作用、抗がん作用があるほか、血圧や血糖値を下げることが知られている」と指摘している。
また、同氏によれば、野菜や果物、豆類などが豊富な食事を取る人は、がんや肥満、糖尿病、認知症、心疾患、うつ病などの慢性疾患になるリスクが低いことが分かっているという。
Heller氏は、コーヒーの摂取は健康に良い習慣の一つになり得るとしながらも、「コーヒーを飲めば、不健康な食習慣や喫煙などによる健康への悪影響を打ち消せるものではない。人によっては、コーヒー中のカフェインは身体に良くないこともある」と話している。
原著論文はこちら
Loftfield E, et al. JAMA Intern Med. 2018 Jul 2. [Epub ahead of print]