くめちゃんのつぶやき脳No.67 日本人の学歴・職歴と認知症の関連に糖尿病は関与するか
日本人の学歴や職歴と認知症との関連性と糖尿病の環形について初めての報告がありましたので紹介します。
これまで、欧米では、低い社会経済的地位(SES)と認知症との関連は生活習慣病(糖尿病)を介すると報告されています。しかし、わが国では低SESと認知症の関連は研究されていませんでした。今回、敦賀看護大学(福井県)の中堀 伸枝氏らの研究からは、認知症のリスクは低学歴、肉体労働、飲酒や糖尿病歴のある人で高いとのこと。
本研究は、富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いた後ろ向き症例対照研究である。富山県在住の65歳以上(入院および非入院)の人をサンプリングレート0.5%で無作為に選択、うち1,303人が参加に同意した(回答率84.8%)。
全体として、認知症137人および認知症ではない対照1,039人を同定した。必要に応じて、参加者と家族または代理人との構造化インタビューを実施し、参加者の病歴、生活習慣(喫煙および飲酒)、SES(学歴および職歴)を調査した。Sobel検定を用いて、低SESが生活習慣病を介した認知症の危険因子である可能性を調べた。
主な結果は以下のとおり。 ・認知症のオッズ比(OR)は、低学歴(6年以下)の参加者で高学歴の
参加者 より高く(年齢・性別での調整OR:3.27、95%CI:1.845.81)、
また、事務の職歴より肉体労働の職歴を持つ参加者で高かった(年齢・
性別での調整OR:1.26、95%CI:0.80~1.98)。
・職歴について調整後、低学歴の参加者における認知症のORは3.23~3.56
であった。
・以前の習慣的な飲酒歴および糖尿病・パーキンソン病・脳卒中・狭心症/
心血管疾患の病歴が、認知症リスクを増加させることが認められた。
・学歴は、飲酒、喫煙、糖尿病、パーキンソン病、脳卒中、心血管疾患に
関連していなかった。
・職歴は、糖尿病および脳卒中に関連していた。
・低学歴と認知症の関連における糖尿病の役割は、きわめて限られている
ことが示された。
要は、学歴が低くても生涯、好奇心を失わず学び続ける姿勢と、職業的な要因からくる食生活の偏りや、暴飲暴食をさけ生活習慣病を回避する知的な健康づくりの生活が、認知症リスクを小さくするということでしょうね。
無知はコストといいますが、健康や食に関して正しい知識を学び実践することが重要ということ。
原著論文はこちら
Nakahori N, et al. BMC Geriatr. 2018;18:102.