くめちゃんのつぶやき脳 62 わあっ!こわあい~ たった一晩の睡眠不足でアルツハイマー病リスクが増大??
本当ですかあ?
そんな怖い論文が見つかりました!
それは、たった一晩でも睡眠が不足すると、アルツハイマー病の引き金になるアミロイドβタンパク質の蓄積量が脳内で増加するという報告です。
米国立アルコール乱用・依存症研究所のEhsan Shokri-Kojoriらによる研究で明らかになりました。
アミロイドβはアルツハイマー病患者の脳内で認められるアミロイドプラークを構成する主なタンパク質で、アルツハイマー病の発症に関与すると考えられています。
これまでにマウスやヒトの研究で脳内のアミロイドβの蓄積には睡眠不足が関連している可能性があることが示されていましたが、ヒトの研究の多くは自己申告による睡眠の質に基づいたものでした。
そこで、今回は、睡眠不足による脳内アミロイドβ蓄積への影響をより正確に評価するため、22~72歳の健康な男女20人(平均年齢39.8歳、10人が女性)を対象とした研究が実施されました。 この研究では、対象者が実験室に二晩にわたって宿泊し、一晩目には十分に睡眠を取り、二晩目には一睡もしないよう指示した。また、それぞれ翌朝に対象者の脳内のアミロイドβ蓄積量を定量化するためPET(陽電子放射断層撮影)と放射性薬剤(18F-florbetaben)を用いたアミロイドPET検査を実施した。 その結果、十分に睡眠を取った翌朝と比べて一睡もしなかった翌朝には脳内のアミロイドβの蓄積量が有意に増加していたのです。また、アミロイドβ蓄積量の増大は、記憶に関連する海馬や感覚情報を伝達する視床などの脳領域で認められました。 一部の専門家の間では神経細胞の「発火(活動電位が発生すること)」がアミロイドβの産生に関与していることが示唆されています。つまり、眠らないと神経細胞が発火し続けるため、アミロイドβの蓄積につながる可能性があるというわけです。
一方、睡眠中は神経細胞が縮小し、細胞間に空間ができるためアミロイドβなどの不要な物質が排出されやすくなるとも考えられています。
大変に、ショッキングな報告ですが、ただ睡眠不足がアルツハイマー病リスクに直接的に関連するかどうかを明らかにするためには、さらなる研究が必要だとするのが専門家の間で一致した意見です。
また、一時的な不眠によってアミロイドβが蓄積しても、一晩ぐっすり眠れば消失するのか否かについて検討する必要があります。
さらに、脳内にアミロイドβが蓄積した状態が続くと神経細胞が凝集しやすくなるのかどうかも明らかにすべきだとの指摘もあります。
原著論文はこちら
Shokri-Kojori E, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Apr 9. [Epub ahead of print]