くめちゃんのつぶやき脳 No.56
◇塩分摂り過ぎは、水を多めに飲んだり野菜や果物を多く食べても
帳消しできない?
塩分の取り過ぎによる心臓への害は、他に野菜や果物をたくさん食べるなど健康的な食事を心掛けても帳消しにはできないとの研究報告がでました。
塩分の取り過ぎは心疾患や脳卒中の主な原因である高血圧のリスクを高める。米国心臓協会(AHA)は、1日に摂取する塩分の基準値としてナトリウム換算で2,300mg(食塩でティースプーン約1杯分に相当)未満に抑えることを推奨している。しかし、AHAによると、実際には食塩をそのまま摂取することは少なく、米国民が口にする塩分の4分の3は缶詰やパン、ハム類やチーズ、スナック類などの加工食品や総菜、レストランの食事に含まれたものだという。 これまで、塩分が高血圧リスクを高めることを示した数多くの研究結果が報告されていたが、塩分以外の栄養素の摂取状況が塩分と高血圧リスクとの関連に影響するのかどうかは不明だった。そこで今回、米国や英国、日本、中国の40~59歳の男女4,680人を対象に、塩分や脂質、たんぱく質およびアミノ酸、ビタミン、ミネラルなど80種類の栄養素と血圧のデータを集め分析した。
データには尿中のナトリウムと、血圧を低下させる作用があるカリウムの排泄量も含まれていた。 その結果、尿中のナトリウム排泄量およびナトリウム排泄量に対するカリウム排泄量の比が高まると血圧の上昇が認められたが、このような関連に他の栄養素はほとんど影響しないことが分かった。この結果から、高血圧前症や高血圧の蔓延を阻止し、制御するためには、食品の食塩含有量を大幅に減らす取り組みが必要であることを示唆している。 取り過ぎた塩分は水をたくさん飲めば薄まると考える人もいるが、専門家によれば、水を余分に飲んでも身体が処理する塩分量に変化はない」と指摘している。その一方で、塩分の摂取量を減らす対策として勧めているのが、食品の栄養表示を必ず確認することと自宅で調理したものを食べることが薦められている。
料理には事前のちょっとした準備や計画は必要だが、最終的には節約にもつながる。さらに、カリウムが豊富に含まれるDASH食などを血圧の低下を促す食事療法として推奨している。
原著論文はこちら
Stamler J, et al. Hypertension. 2018 Apr;71(4):631-637.