「三大がん」と職業との関係 (日本人男性) 死亡リスクが高い職業は?
北里大学の江口 先生らによる、興味深い報告を紹介します。
日本人男性におけるがんによる死亡率のトップ3は、肺がん、胃がん、大腸がんです。
報告では、がんトップ3による死亡リスクの高い職業と、産業別について調査を行っています。
調査は2010年の全国職業調査データおよび産業別死亡率データ(調査対象:2,697万4,828人)を用いて検討し、統計的処理により年齢調整後の死亡比率を推定しています。 調査結果の概略は以下の通りです。 ◆職業・産業別の死亡率では
・肺がんおよび大腸がんの死亡率は、職業別でみると「行政・管理」が、
産業別では「鉱業」に従事する男性で最も高かった。
・胃がんの死亡率は、職業別では「農林水産業が」、
産業別では、やはり「鉱業」に従事する男性で最も高かった。
・「失業者」の3大がんによる死亡率は、全職業・全産業の中で最も高かった。
◆職業・産業別の相対死亡リスクでは
・職業別の3大がんによる死亡の相対リスクを調べると、
「サービス業」、「行政・管理」、「農林水産業」、「専門職・エンジニア」の
男性で高かった。
・産業別の3大がんによる死亡の相対リスクは、「鉱業」、「電力・ガス」、
「水産業」、「農業・林業」の男性で高かった。
◆製造業を対照とした職業別の死亡率比では ・失業者:8.07~11.40倍 ・サービス業:2.96~3.65倍 ・行政・管理:2.42~3.49倍 ・農林水産業:2.11~2.49倍 ・専門職・エンジニア:1.99~2.48倍 ・建築・鉱業:1.35~1.61倍 ・営業:1.06~1.29倍 ・運輸・機械操作:1.05~1.31倍 ・事務:0.74~0.87倍 ・警備:0.61~0.79倍 ・運送・清掃・梱包:0.53~0.64倍
原著論文
Eguchi H, et al. Sci Rep. 2017 Feb 23;7:43204.
これらはあくまでも調査の結果ですので、絶対視することはできません。
がんの発症の要因はいろいろありますので、すべてを自身でコントロールできるものではありません。
ですから、こうした情報を参考にして、自身でコントロールできる部分について、日々の生活の中でがん発症リスクを低下させていく意識と行動が大切となりますね。