くめちゃんのつぶやき脳No.409
改めて知る、肝臓とアルコールのこと
少量の飲酒でも疾患のリスクは上がる①
◇酒に強いか弱いかは「アセトアルデヒド分解能力」の違い
「酒は百薬の長」という説は過去の話。
最近は、多くの論文から飲酒はさまざまな病気のリスクを上げることが分かってきました。飲食店でお酒を飲む機会が増えてきた今こそ、飲酒が体に影響を与える科学的なメカニズムを理解し、健康的にお酒を楽しみたいものです。
実はこのところ、「酒」に対する風当たりが強くなってきています。
コロナ禍に、酒場が新型コロナウイルスの感染リスクの高い場所として名指しされ、さらに厳しくなったように思います。
お酒への逆風は、私の講座でも取り上げましたが、世界的権威のある医学雑誌「Lancet(ランセット)」において、「少量の飲酒でも疾患のリスクは上がる」という趣旨の論文(Lancet. 2018;392:1015-35.)が2018年に掲載されてから吹き始めました。
これまで信じられてきた「酒は百薬の長」という概念が崩れ、“適量”を飲酒する人は死亡リスクが低いことを示す「Jカーブ」のグラフも疑問が持たれるようになったのです。
しかし、愛飲家の一人である私などは、病気になるリスクを限りなくゼロにするために、まったく酒を飲まないのであれば、これほど味気ない人生はないと感じました。これが多くの酒好きの本音ではないでしょうか。
でも、私もたくさんの報告に接するうちに考えも変わり、毎日習慣的に飲んでいたのが、今は、一週間に飲酒日は1日ほどにきっぱり切り替えました。
しかし、それでも飲みたい人は多いかと思いますので、今回は、アルコールの
リスクをきちんと理解した上で、自分が納得のいく範囲で酒を楽しめるような視点でお伝えしていきます。
そのためには、一度基本に立ち返り、アルコールがカラダに影響を与える科学的なメカニズムを知っていきましょう。
まずは、酒を飲むとカラダの中でどのようなことが起きるのか、アルコールが分解されるまでのプロセスを開設します。
アルコールは胃や小腸で吸収され、主に肝臓で分解されます。
アルコール(エタノール)は、まず分解されて「アセトアルデヒド」になり、次に無害な「酢酸」になります。アセトアルデヒドの分解が遅い体質の人は、少量の飲酒でも顔が赤くなったり吐き気がしたりするフラッシング反応が起きることは周知のとおり。
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