くめちゃんのつぶやき脳No.385
◇クイズで学ぶ「内臓脂肪」!
肥満には、脂肪が蓄積する場所によって皮下脂肪型と内臓脂肪型があり、問題となるのは、内臓脂肪が蓄積したタイプの肥満です。
では、そもそもなぜ内臓脂肪の蓄積はいけないのでしょうか?
今回は内臓脂肪を取り上げクイズで学んでみましょう。
【問題】内臓脂肪が蓄積したタイプの肥満が健康に良くないことは広く知られていますが、次の記述うち、内臓脂肪の説明として間違っているのはどれでしょう。
•(1)内臓脂肪がたまると、脳卒中や心筋梗塞を起こしやすくなる
•(2)一定以上に大きくなった内臓脂肪の脂肪細胞は、悪玉物質をたくさん出す
•(3)BMIが25未満(基準値内)であれば、内臓脂肪の心配はまずない
•(4)内臓脂肪は皮下脂肪より落ちやすい
どれだと思いますか?
【解説】
内臓脂肪がたまると問題になるのは、ズバリ脳心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞など)を起こしやすくなるからで。
脂肪組織を構成する脂肪細胞は、「脂肪の貯蔵庫」と、「内分泌器官」としての役割があります。特に内分泌器官としての働きでは、様々なアディポサイトカインとよばれる生理活性物質を分泌しています。
アディポサイトカインは本来、糖や脂質の代謝を円滑にする善玉の働きを担っています。
しかし、これが脂肪細胞が一定以上に肥大化するとインスリンの働きを阻害したり、血圧上昇を命令したりするような悪玉のアディポサイトカインが分泌されるようになり、高血糖・高血圧・脂質異常、ひいては動脈硬化を進めて脳心血管疾患を引き起こす原因となるのです。
脂肪細胞の肥大化は皮下脂肪でも見られますが、悪玉の物質を出すのは肥大化した内臓脂肪だけなのです。
肥大化した脂肪細胞が分泌する悪玉物質にはいろいろなものがあります。
少々、専門的になりますが、例えばTNF-α(ティエヌエフアルファ)は、インスリンが分泌されても、それが効きにくいように働いてしまうインスリン抵抗性を引き起こします。その結果、血液中のブドウ糖が筋肉や肝臓に取り込まれにくくなり、高血糖となります。
また、アンジオテンシノーゲンという物質には、血圧を上げるよう命令する作用があります。PAI-1(plasminogen activator inhibitor-1;パイワン)は血液を固まりやすくし、血栓をできやすくします。
こうした悪玉の生理活性物質の影響で、血圧や血糖値が高くなり、そうした状態が長期間続くことで動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞が起こるわけです。
では、内臓脂肪がどのくらいたまると、良くないのでしょうか。その目安は、CTスキャンで、おへその位置で体を輪切りにしたときの内臓脂肪面積が100平方センチメートルを超えるかどうか。
男性なら腹囲85cm、女性なら90cm以上ある場合は要注意とされています。
なお、肥満かどうかは、身長と体重の比率を見たBMIで判定します。
日本肥満学会では、この数字が25以上になると「肥満」と定義しています。
BMIの数値が高くて、体が全体的に太っているのは良くないと考える人は多いでしょう。
しかし、一番注意が必要なのは内臓脂肪がたまっている状態なのです。
例えば、BMIが25未満でも、内臓脂肪がたまっていることがあります。
いわゆる「隠れ肥満」というもので、一見肥満ではないけれどお腹だけ出ている、こういう人が「危ない肥満」となります。
実際、BMIと内臓脂肪面積の関係を表したある自治体のデータを見ると、BMI25未満でも内臓脂肪面積が100平方センチ以上ある人は、BMI25以上で内臓脂肪面積100平方センチ未満の人より、高血圧、高血糖、脂質異常などのリスクファクターの数が多い傾向があることが分かっています。
つまり、問題は内臓脂肪が一定以上蓄積しているかどうかということ。
BMIや体重だけで判断するのではなく、脂肪がどこにどれだけついているかを見るのが、単なる肥満と危険な肥満を判断する際のポイントになります。
内臓脂肪の蓄積を見る場合も、「男性で腹囲85cm、女性で90cm以上」という数値は、あくまでも目安です。
仮に腹囲が男性で85cm未満、女性で90cm未満でも「若い頃よりもおへそ周りが太くなっている」場合は注意しなければいけません。
幸いなことに、内臓脂肪は皮下脂肪よりも落ちやすいという特徴があります。
本気でダイエットをすれば短期間で効果が出やすいし、そうなれば血糖や血圧の値も改善します。
積極的にウォーキングなどの有酸素運動を行って、内臓脂肪を落とすことを心がけましょう。
正解(内臓脂肪の説明として間違っている記述)は、(3)BMIが25未満(基準値内)であれば、内臓脂肪の心配はまずない です。
Comments