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102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.644

  • 執筆者の写真: 竹内久米司
    竹内久米司
  • 8月16日
  • 読了時間: 6分

白米を愛した代償は、神経と心臓に――かつて日本を蝕んだ“脚気”、

その黒幕となった栄養素は?


「ビタミン」についての問題です


【質問】糖質の代謝に不可欠な補酵素として機能し、その不足がかつて国民病と言われた「脚気(かっけ)」の原因になったビタミンは次のうちどれでしょう。

(1)ビタミンB1

(2)ビタミンB6

(3)ビタミンD

(4)ビタミンE

(5)葉酸


【解説】

糖質だけじゃエネルギーは作れない!?――“目立たないけど超重要”なビタミンB1の仕事

ごはんやパンなどの糖質を食べても、それだけでは体のエネルギーにはなりません。

そこで欠かせないのが「ビタミンB1」。これは水に溶けるビタミンB群の一種で、糖質をエネルギーに変える働きを助ける“補酵素”として活躍しています。


このビタミンB1は生きるために本当に大切です。

糖質をエネルギーに変える代謝のカギを握っているからです。


食事で摂った糖質は、細胞の「ミトコンドリア」というエネルギー工場で何度も化学反応を繰り返し、「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質に変わります。

このATPは、体内で“エネルギー通貨”のような存在。ビタミンB1がないと、そのATPを十分に作ることができず、糖質の力が活かせません。

特に心臓や脳など、たくさんのエネルギーを必要とする臓器では、ビタミンB1の重要度はさらにアップ。

実際、体内でも心血管に多く分布していることが分かっています。


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🌀 白米の影に潜んだ“沈黙のビタミン不足”――心臓と脳を脅かすビタミンB1の物語

かつて江戸の町を歩く人々を突然死へと追いやった「国民病」がありました。

その名は脚気(かっけ)。主食が玄米から白米へと移り変わったことで、ビタミンB1の摂取量が急激に減り、心臓や神経に深刻なダメージを与える病が猛威をふるったのです。


ビタミンB1は、私たちが食事で摂った糖質をエネルギーに変える“補酵素”として働く、非常に重要な栄養素。特に心臓や脳のようなエネルギー消費の激しい臓器では不可欠です。

欠乏すると、体がエネルギー不足に陥り、酸素の消費が過剰になって「高拍出性心不全」と呼ばれる危険な状態を引き起こすことも。


現代では、玄米に代わって豚肉が主なビタミンB1の供給源となっており、急性の脚気はほとんど見られなくなりました。でも――油断は禁物。

実は、軽度のビタミンB1不足でも、長期的に見れば心不全のリスクを高めている可能性があります。


実際、日本の大規模な前向き研究(JACC Study)では、ビタミンB1の摂取量が多い人ほど、心不全による死亡リスクが低いことが確認されています。

さらに海外の研究でも、心不全の重症患者ほどビタミンB1欠乏の割合が高いという報告が。

代謝が亢進し、より多くのB1を消費するためです。


🌟ひと口の豚肉が、あなたの心臓を守る鍵になるかもしれない。過去の教訓を、今日の予防に――。日々の食事に、ちょっとだけ意識を向けてみませんか?


🍚 腸でもちょっとは作れる。でも――やっぱり食事がカギ! ビタミンB1が足りない日本人

ビタミンB1は、腸の中の細菌がほんの少しだけ作ってくれるけれど、それだけじゃとても足りません。だから私たちは、食事からちゃんと摂る必要があります。


慢性的な疲れや不調がある人、将来の健康を気にしている人は、まずは食事を見直してみましょう。

とくに糖質中心の食生活が続いていると、ビタミンB1の必要量がぐっと増える傾向があります。


📊「2019年の国民健康・栄養調査」によると――20歳以上の男女(※70代女性を除く)のほとんどが、ビタミンB1の摂取量が国の定める“必要量”に届いていません。つまり日本人のビタミンB1摂取量は十分とは言えない状況です。


📌2025年度から使われる「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、

成人男性:1.0〜1.2mg

成人女性:0.7〜0.9mg


のビタミンB1摂取が“推奨量”として示されています。

そして身体をよく動かす人は、それだけエネルギーも使うので、必要なB1量も増える点に注意!


💧さらに、利尿薬を使っている人は要チェック。

利尿薬を使っている人ほど血中のビタミンB1濃度が低いという結果が出ています。これは海外でも報告されている事実。

ビタミンB1は体にたくわえておくことができず、余った分はすぐ尿で出てしまうため、こまめな摂取が大切です。そして、食事からとる分には“とりすぎ”を心配する必要はほとんどありません。


🍖🌽🐟 豚肉・豆類・魚・玄米など、意識すれば意外といろんな食材に含まれていますよ。今日のメニューに、ちょっとビタミンB1を足してみませんか?


あなたの食卓に潜む“ビタミンB1の救世主”――日本人が一番頼りにしているのは豚肉!

うなぎ、玄米、豆類……ビタミンB1が豊富な食材は色々ありますが、実は日本人が一番多くビタミンB1を摂っている食品は「豚肉」なんです。

令和元年の国民健康・栄養調査では、豚肉からのB1摂取量が他の食品群を大きく上回っていました。

特におすすめなのが、肩ロースの赤身。100gあたり約0.72mgのビタミンB1が含まれています。

📏つまり、成人であれば1日あたり100〜170gほど食べれば、食事摂取基準で定められた推奨量をしっかりクリアできる計算です。


「なんだ、豚肉なら手軽にとれるじゃん」と思った方、ちょっと安心ですよね。

でも偏った食べ方はNG。豚肉をうまく取り入れながら、玄米や豆類、野菜などと組み合わせて“ビタミンB1リッチ”なバランスの良い食事を目指しましょう。


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🥢 次の食事にちょっとだけ“意識”を添えて。豚肉の生姜焼きも、立派なビタミンB1メニューです!

🥢 せっかくのビタミンB1、もったいない調理してませんか?――賢くとって、しっかり吸収!

ビタミンB1は水に溶けやすく、熱にも弱いという繊細な性質を持っています。だから――

💧長く水にさらしたり、ぐつぐつ茹でたりすると、栄養がどんどん逃げてしまうんです!

栄養を無駄なく取り入れるには、

蒸す

電子レンジでサッと加熱する

煮汁やゆで汁ごと食べられるメニューにする


など、調理法をちょっと工夫するのがコツ。

とはいえ、あまり神経質になりすぎる必要はありません。調理損失を過剰に気にするより、まずはいろんな食品をバランスよく食べること。そして、日常の食事でビタミンB1を意識して摂ることが何より大切です。


🌿 さらに、うれしい裏技も!ニンニク・ニラ・タマネギなどの香味野菜と一緒にとると、ビタミンB1の吸収率がグンとアップするのです。これは「アリシン」という成分の力。アリシンとビタミンB1が結合することで、脂溶性に変わり、体に長くとどまってくれるのだそう。

🍱 例えば、豚肉のニラ炒めや、うなぎのタレ煮にすりおろしニンニクをちょっとプラス。美味しくて、しっかり吸収できる一石二鳥のメニューになりますよ。


正解(正しい答え)は(1)ビタミンB1 です。

 
 
 

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