くめちゃんのつぶやき脳No.374
◇最新研究から判明、筋肉を増やすたんぱく質の摂り方②
・筋肉量を増やす効果はもともとタンパク質が不足している人ほど大きい
前回の説明で、筋肉を増やすことは、単に体を鍛える、筋力を強くするためのものだけではない、重要な意味を持つことが理解できたと思います。
いいよ、筋肉を積極的に増やしたいとの思いが強くなる人も多いかとお思いますが、実は、もう一つ、知っておきたい新事実が研究で明らかになっています。
3つ目の事実は、たんぱく質の総摂取量が体重1kg当たり1.3gを超えると、運動を加えなければ、筋肉量の増え方がなだらかになるということです。
ある一定量まではたんぱく質摂取量を増やすだけで筋肉も増えます。しかし、それには限界があり、それ以上に筋肉量を増やし、質を高めるには、これまで言われてきたように運動が必要となります。
体重1kg当たり1.3gというと、体重50kgの人なら65g、60kgの人なら78g、70kgの人なら91gに相当。
体重1kg当たり1.3g以上たんぱく質をとって筋肉の量と質を高めるには、やはり筋トレが必要となる。筋トレをしなければ、体重1kg当たり1.3g以上たんぱく質をとったとしても筋肉量が下がるとの報告もある。
これを読んで「やはり運動しなくてはダメなのか」とがっかりする必要はありません。それは、そもそも、日本人のほとんどは少しでも現状の食生活にたんぱく質を足して、筋肉を増やすべき状態だからなのです。
体の中で常に合成と分解を繰り返しているため、たんぱく質は毎日しっかりとる必要があるのだが、そもそもほとんどの人が摂取目標量(生活習慣病の発症と重症化、フレイルとサルコペニア〔筋肉減少症〕の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量の範囲)を満たしていないのです。
例えば、いわゆるオフィスワーカーの身体活動レベルの人(*1)の1日のたんぱく質摂取目標量は図3のようになる。一方、実際に摂取している量(図2)を見ると、成人男女のどの年齢層も、推奨量(体の維持に最低限必要と考えられる量を基準に、個人間の変動を加味した量)には達しているものの、60歳未満は目標量の下限値に達していない。特に男性は、すべての年代で1日のたんぱく質摂取量は目標値の下限を下回っている。
*1 身体活動レベル普通=座位中心の仕事だが、通勤や買い物などの移動や家事労働等で1日合計2時間、仕事中の職場内の移動で合計30分程度を費やしている状態の人
つまり、国民のかなりの割合、少なくとも半分以上は体重1kg当たり1.3g以上たんぱく質をとるまでは至っておらず、今よりたんぱく質の摂取量を増やすだけで、筋肉が増えるという恩恵にあずかれるわけ。
ここが重要なポイントです。
自分の筋肉量が十分なのか、まずチェックしてみたい。
目安になるのは「指輪っかテスト」。
これは両手の人差し指と親指で“指輪っか”を作り、利き足でないほうのふくらはぎの一番太い部分を囲んでみて、指輪っかの中にすっぽり入れば(ふくらはぎの一番太い部分が指輪っかより細ければ)、サルコペニア(筋肉減少症)の可能性が高く、たんぱく質やその他筋肉を作る栄養素が不足している恐れがあるという。
また、毎日どのくらいたんぱく質を摂取しているか計算してみて、摂取量が体重1kg当たり1.3gよりも少ないようなら、まずは1kg当たり0.1gでもいいから増やすことをお勧めします。
研究では、運動をしなくても摂取するたんぱく質を増やせば一定レベルまで筋肉量を増やせることが明らかですが、筋肉の質を高めるためには筋トレのような運動が必要なのも事実。
筋肉不足の可能性がある人は特に、今の食事に5~7gでもいいからたんぱく質摂取をプラスしたいところ。
そして、エレベーターは使わず階段を利用する、毎日通勤、買い物などの際に少しでも長く歩くようにするなど、意識的に身体活動量を増やしてみましょう。
今日から、今の食事にまずは5~7ℊのたんぱく質を足すことからスタートしよう。
ただし、腎機能が低下しているなど、たんぱく質を制限するように指導を受けている人は、医師と管理栄養士に相談しながら摂取量を決めることが望ましいです.
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