くめちゃんのつぶやき脳No.347
◇日用品の化学物質のにおいがもたらす頭痛や吐き気、体調不良
衣類の洗剤や化粧品の香りが強いと不快に感じることがありませんか。
なかには吐き気や頭痛をおぼえる人がおります。
香りとの体調不良との関係は明確ではないが、化学物質過敏症の場合がある。
においが心身に影響する仕組みを知って対応を考えてみましょう。
日常生活で接する化学物質は約2万種類ともいわれています。多くの化学物質に囲まれて生活していると、微量の化学物質に反応して、頭痛やめまい、吐き気、せき、目・鼻・のどの痛みや刺激、不安感といった症状が表れることがあります。これが、繰り返えされる場合は化学物質過敏症と診断されるケースもあり、2009年には厚生労働省が保険診療の対象となる病名リストに登録しています。
化学物質過敏症の専門医は、「様々な化学物質に長期間さらされることで、その影響が蓄積して許容量を超えてしまい、体が悲鳴を上げている状態」と解説している。いったん発症すると、微量かつ多種類の化学物質に過敏になり、日常生活に支障がでることがある。
これは私が提唱する「経皮毒」の場合も同じです。
においに敏感な人は衣類の洗剤や柔軟剤、芳香剤、香水や化粧品に含まれる香料に反応します。国民生活センターには2014年から20年にかけて柔軟剤の香りに関する相談が900件以上寄せられ、その6割は心身の症状を訴えるものだった。また、100を超す自治体が学校などに、ポスターなどを通じて症状のある人への配慮を求められています。
香料に含まれる成分と症状との因果関係は、現在まで明らかにはなっていないが、同じ香りでも人によって感じ方が異なるのは不思議です。不快な香りと感じてしまうと、それが症状の引き金になっていくことが多いように感じます。
これには、においを感じる嗅覚が関わっています。視覚や聴覚など五感の中で嗅覚は最も本能的な感覚で、危険を察知する重要な役割を担っています。進化の過程で備わってきた能力で野生動物では嗅覚は生きのびていくために大切な能力といえます。においは嗅覚路と呼ばれる伝達路を経て、脳の記憶を司る海馬、感情に関わる扁桃体がある大脳辺縁系に運ばれ、視床・視床下部に到達します。そのため、においの刺激は記憶や情動と結びついて、様々な反応を引き起こすことが知られています。
例えば、ある香りを「嫌い」と感じる場合は、自分にとって危険なものだと認識している状態になる。
逆に「好き」だと感じる人は、その香りに適応して慣れ親しむため、危険なものとは感じない。
化学物質過敏症の人がにおいを感じる時には、思考や感情など脳の高次機能を担う前頭葉の血流量が変動することが分かっている。
また、においの刺激が視床・視床下部に変調をもたらすと、自律神経の働きが乱れて心身の不調を引き起こすこともあるのです。
化学物質過敏症を予防するには、暮らしの中で化学物質をなるべく避けることが一番です。体調不良を感じた時にはその場から離れることです。
ドラグストアーや大型ショッピングセンターの化粧品や洗剤の売り場などから強烈な香りが店内だけではなく店の外まで香りが漂っていることがよくありますが、私は息を止めて足早に通り抜けるか、別の道を歩くようにしています。
室内でもっとも重要なのは新型コロナ対策と同じで換気です。
1~2時間に1回は窓を開けることです。なお、空気清浄機では換気はできないので注意が必要です。
また、適度な運動などでストレスを緩和することも大切になります。
化学物質過敏症になる人は、ストレス対処が苦手な傾向があると報告されています。
栄養状態を整え、有害物質を体外へ排出するのに必要なビタミンやミネラルを積極的に取っていくことも大切です。
とくに、中枢神経を安定させ免疫に働くビタミンD、抗酸化作用のあるビタミンCとともに亜鉛もお勧めです。
化学物質過敏症は誰もが発症する可能性があるので、自分には問題がないと感じる香りやにおいであっても、他の人にとっては苦痛になることもあります。
私が、以前、丸の内の本社オフィイスで仕事をしていた時に、同じフロアーの他の部署の若い女性が、合成香料のお香をデスクから漂わせていたことがありましたが、私にはその香りが不快でたまらなかったので、丁重にお願いしオフィスでは焚かないようにしてもらった体験があります。その若い女性は良かれと思ってやったことでしたが、香りに対する感受性は人によって違います
そのことを、しっかり認識して、不快感や体調不良を感じる人への十分な配慮を忘れないようにしたいものです。
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