くめちゃんのつぶやき脳No.280 ◇「飛蚊症」はなぜ起こる?視界にいつも黒い点が… クイズで学ぶ「飛蚊症」
【問題】視界を常に黒い点や虫のようなものがフワフワと漂う
「飛蚊症」。
この現象は、眼球のどの部分の変化によって起こるのでしょうか?
•(1)レンズの役割を担う「水晶体」が濁るために起こる
•(2)水晶体の後ろにある「硝子体(しょうしたい)」が
濁るために起こる
•(3)視神経が傷つくために起こる
黒い点や虫、ごみのようなものが常に視界を飛んでいる…。
こうした症状は「飛蚊症」と呼ばれますが、その正体は一体何なのでしょうか。
私も30代後半で大阪出張中に突然視界の中に黒い点が出現。なかなか消えないので東京に戻ってから大学病院を受診。「飛蚊症」と診断された経験があります。
その後、数カ月後に黒い点は消えましたが、たぶん脳が黒い点を消して認識させているいるのだと考えています。
飛蚊症は、眼球の硝子体(しょうしたい)の成分が変化して濁ったものです。
眼球の中でレンズの役割を担うのは、角膜と水晶体です。
この2種類のレンズを用いて網膜の中心部にピントを合わせ、その像が投影されることで私たちは物が見えています。
一方、眼球の約8割を占める硝子体は、直接「見え方」には関わっていませんが、映像がここを通して投影されるため、硝子体が何らかの原因で濁ると黒い点となって見えるようになります(図)。
硝子体が濁る原因はさまざまで、その多くは加齢によって生じるとされています。
加齢によって生じる飛蚊症は、加齢とともに硝子体が萎縮して網膜からはがれることで、硝子体に濁りが生じ、それが黒い影になって見えるようになります(これを「後部硝子体剥離」といいます)。
加齢による飛蚊症は病気ではなく、生理現象なので、基本的には放っておいても問題はありません。
ただし、一部の飛蚊症は、治療しなければ視機能が障害されることもある、「病的」な飛蚊症です。
病的な飛蚊症は、眼内の出血や、炎症を起こした細胞などが硝子体の中を漂うことで、黒い点やごみのように見えます。
突然飛蚊症を感じた人のうち、約1割は網膜に孔が開く「網膜裂孔」を起こしているという報告もあるようです。
目に何らかの打撲のような刺激を受けやすい人、例えば、格闘技の選手やアトピー性皮膚炎の人は注意が必要です。
アトピー性皮膚炎がここに入るのは意外かもしれませんが、目の周りがかゆくなると、力を込めてかいたり、中には叩いたりする人もいます。
わずかな刺激でも目にとっては慢性的な軽い打撲を受け続けることとなり、網膜に影響を及ぼします。
近視が強い人も、網膜が弱い傾向があるので要注意です。
近視があると眼球のサイズが少し大きくなり、網膜が引き伸ばされた状態になっています。そのために網膜が薄く、孔が開いたりはがれやすくなります。
このほか、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性のような病気も飛蚊症を起こすことがあります。
網膜裂孔から網膜剥離を生じた場合、放置するとどんどん広がっていきます。
初めは見え方にあまり影響しませんが、網膜剥離が進行すると視野の異常(網膜剥離に対応した部分が欠けて見える、あるいは暗く見える)や視力低下をきたします。
視界に違和感があるとき、あるいは初めて飛蚊症を感じたら、その時点で早めに受診するようお勧めします。