くめちゃんのつぶやき脳No.255 ◇新型コロナウィルス感染対策にはストレスケアーの「心のワクチン」で
いつもなら春は桜満開、卒業式、入学式といった希望と期待がいっぱいの嬉しい時期、しかし今年はすっかり新型コロナウイルス感染症の深刻度が高まり、すべてかき消されてしまっている状況です。皆さまの心と体のケアーは大丈夫ですか。
この芽時期といわれる4月から5月にかけては、うつ症状などの精神疾患で悩む人が増えることが知れています。
三寒四温と呼ばれる気温の変化に加えて、家族の卒業や入学、就職、異動、引っ越し等となにかと環境変化が激しいことで、こうした変化に肉体的にも精神的にも順応しきれず、自律神経に負担がかかり心身の調子が崩れやすくなるからです。
症状として不眠、イライラ、不安の増強、憂うつ気分といった精神的な不調や、倦怠(けんたい)感、頭痛、ひどい肩こり、胃もたれや便秘・下痢、めまい、動悸(どうき)といった身体的な不調が出やすくなります。
その上、今年の春は、新型コロナウイルス感染が世界的蔓延し、精神的なストレスが過分に上乗せされています。
国を挙げての集会・イベントの大規模な自粛要請、マスクだけでなくトイレットペーパー類に及ぶ買い占め騒動といった日常生活の混乱など、日本中が大きな変化の渦にのみ込まれストレスも増大するばかりです。
現時点で明らかになっているデータでは、新型コロナウイルスは、基礎疾患がない、健康な現役働きざかり世代が感染しても無症状~軽症の風邪症状が多く、感染者の約8割が軽症で自然治癒しています。
日本感染症学会が2月26日に発表した「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方」では、「概ね50歳未満の患者(但し基礎疾患や免疫抑制状態の患者は除く)では肺炎を発症しても自然経過の中で治癒する例が多いため、必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい」と明記されています(*1)。
したがって現在健康で元気な現役世代の働く人は、まず十分な睡眠と栄養、休息をしっかりとるという「セルフケア」を入念に行ってストレスをできるだけ和らげ、自分の持つ抵抗力を最善の状態に整えることが、感染を予防するうえでも、万が一感染した場合に軽症で治癒するうえでも、最も大切になってきます。正しい情報に基づく知恵ある行動は新型コロナウィルス拡大に対するなによりの「心のワクチン」になります。
*1 「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」(2020年2月26日)
(1)良質な連続睡眠を夜6時間以上しっかりとる
良質な連続睡眠をとるためには、次のNG行動は避けてください。
スマートフォンやゲーム類、SNSなどを眠る直前まで見る
ブルーライトは睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制する
照明やテレビをつけたままソファで寝てしまう
明るい光や雑音があると、体内時計のリズムが乱れ、メラトニンの分泌が阻害
アルコールを寝る直前まで飲む
アルコールは睡眠を浅く不規則にするため、メンテナンス機能を妨げる
(2)栄養バランスのとれた食事で体力・気力・抵抗力を維持
不安を和らげ良好な精神状態を保つためのセロトニン、ドーパミンといった脳内物質は、日々摂取する食事を原料にして合成されています。安易なファストフードやスナック類で食事を済ますことなく、1日最低2食は栄養バランスのしっかりとれたメニューを食べて栄養を十分に体に取り入れましょう。
たんぱく質(肉・卵・魚類・大豆製品)、ビタミン・ミネラル類(野菜、海藻、果物類)、炭水化物や糖質(ご飯、パン、麺類など)を組み合わせたバランスの取れた食事を心がけましょう。特に肉、卵、魚類などの動物性たんぱく質には疲労回復物質が豊富に含まれていますので、できるだけしっかりと摂取しましょう。またこの時期の過激なダイエットは厳禁です。
(3)心身をゆったり「緩める時間」を意識して増やす
抵抗力を落とさないためには、過緊張を防ぐことが何よりです。
平日の夜は、早めにIT機器をオフにして、ゆったりとソファに横になって心地よい音楽を聴いたり、毒気のないお笑い番組を見たりしながら、のんびりと過ごしましょう。
休日は予定をできるだけ入れず、ゆったりと時間に縛られない生活を送りましょう。ともかく休日は「気の向くままに、のんびりと過ごす」のが一番です。疲れているときは自宅でぐうたらしていてももOKとしてきましょう。
繰り返しになりますが、心のケアーを怠らないことが、新型コロナウィルスに対する「心のワクチン」と考えていきましょう。