くめちゃんのつぶやき脳 No.217 ◇日本人高齢者のてんかん有病率は中年の約3倍、その原因は~久山町研究
わたくしは38年間抗てんかん薬の開発研究に関わってきましたので、多くの、てんかんん疾患さんを見てきました。日本ではまだまだてんかんに対して偏見や差別的な感覚を持っている方が多く存在します。
しかし、現在てんかんは優れた治療薬が上市されていますので、きちんと処方通りに服用を続けていれば日常的には何の問題もないのです。
また、本人が気が付いていないだけで潜在的なてんかん症状を持っている方も多いのです。
最近、高齢者の運転事故が報道されていますが、その要因に潜在的にてんかんの高齢者が増えているのではないかと、気になっていたところですが、今回、それを裏付ける報告がありましたので紹介します。
てんかんは小児期から老年期まで、すべての年齢層でみられる一般的な慢性神経疾患です。
運転中にドライバーが発作を起こせば重大事故につながるリスクがあり、たびたび社会問題としても報じられている。米国・ロチェスターにおける研究では、てんかんの発生率が乳児と高齢者で高く、有病率が加齢と共に増加することが報告されているが、国内における人口ベースの研究はほとんどない。今回、京都府立医科大学の田中 章浩氏らが久山町研究で調べたところ、高齢者におけるてんかん有病率は中年の約3倍であり、症例の半数以上が高齢で最初の発作を経験していることがわかった。研究結果は、Epilepsia誌に掲載され、現在、神戸市で開催されている第53回日本てんかん学会でも報告された。 本研究は、久山町研究のサブスタディとして実施。2012年6月~13年11月の期間に、地域居住の40歳以上(4,679例)を対象に、心血管リスク因子とてんかん発作の経験の有無についての調査を実施し、このうち3,333例(居住者の71.2%)が登録された。 調査は対面のインタビュー形式で、てんかんの既往歴の有無および現在抗てんかん薬を服用しているか否かについて聞き取りが行われた。
既往歴の定義は、過去5年以内に少なくとも1回の発作を起こし、神経科医の医師などによって診断された活動性てんかんのエピソードを有するか、抗てんかん薬を使用し、治療を受けていることとした。 調査の結果、23例がてんかんと診断され、有病率は1,000人あたり6.9症例(95%信頼区間[CI]:4.1~9.7)であった。この結果に有意な性差は認められなかった(p=0.23)。
年齢層でみると、40~64歳の中年層(1,000人あたり3.6症例、95%CI:0.7~6.4)よりも、65歳以上の高齢層(1,000人あたり10.3症例、95%CI:5.4~15.1)で有意に高く、その差は約3倍の開きがあった(p=0.02)。
てんかんの主な原因は脳血管疾患であった(n=11、てんかん症例の48%)。また、症例の半数以上が、65歳以上で初回エピソードを経験していることもわかった(n=13、同57%)。
著者らは、「今回の研究結果は、高齢者の脳血管疾患と関連して、てんかんの有病率が増加することを示唆している。将来的なてんかんリスクを軽減するためにも、脳血管疾患の予防が非常に重要である」と述べている。
私も同感です
それだけに、脳科学的栄養学で私が提唱している「成幸脳」づくりが大切になってきます。
脳血管疾患の予防には日常的な食習慣や行動習慣、環境化学物質の曝露などライフスタイル全般が関わってきます。
若い時期からの生活習慣のつけでもあり、それは遺伝子の書き換えにも関係してきますので気をつけてまいりましょう。