くめちゃんのつぶやき脳 No.213 ◇ベジタリアンは肉食より脳卒中リスク増
- 竹内久米司
- 2019年11月4日
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魚食や菜食主義(ベジタリアン)の人は、肉食の人と比較して虚血性心疾患の発生率は低かったが、ベジタリアンでは脳出血および全脳卒中の発生率が高いとの報告がありました。
英国・オックスフォード大学のTammy Y N Tongらが、ベジタリアンと虚血性心疾患および脳卒中との関連を調査した結果報告です(前向きコホート研究「EPIC-Oxford研究」の18年を超える追跡調査)。
従来の研究では、ベジタリアンが非ベジタリアンより虚血性心疾患のリスクが低いことは報告されていたが、脳卒中に関するエビデンスは十分ではなかった。
約5万人を18年以上追跡、肉食・魚食・菜食群に分け心血管疾患の発生を調査
研究グループは、1993~2001年に虚血性心疾患、脳卒中、狭心症または心血管疾患の既往がない4万8,188例を登録し、ベースラインとその後2010~13年に収集された食事の情報に基づいて、肉食群(魚、乳製品、卵を消費するかどうかにかかわらず肉を食べる人:2万4,428例)、魚食群(魚は食べるが肉は食べない人:7,506例)、菜食群(ヴィーガンを含むベジタリアン:1万6,254例)に分類し、追跡調査。
ベースラインとその後の2010年頃(平均追跡期間14年後)の両方で食事に関する報告があったのは2万8,364例であった。 脳卒中は肉食群に比べ菜食群で20%増加
18.1年以上の追跡調査の結果、虚血性心疾患2,820例、全脳卒中1,072例(脳梗塞519例、脳出血300例)が確認された。
社会人口学的および生活習慣の交絡因子を調整後、虚血性心疾患の発生は魚食群および菜食群で、肉食群と比較してそれぞれ13%および22%低下した。
この差は、虚血性心疾患の発生が肉食群よりも菜食群において、10年以上で1,000人当たり10症例少ないことに相当した。
虚血性心疾患との関連性は、自己報告による高コレステロール、高血圧、糖尿病、BMIで調整すると、部分的に減弱した。
一方、菜食群では、全脳卒中の発生が肉食群より20%増加。
これは、10年以上で1,000人当たり3症例多いことに相当し、大部分は脳出血の増加によるもので、脳卒中との関連性は疾患リスク因子を調整しても減弱しなかった。
なお、著者は研究の限界として、スタチンなどの薬物療法に関する情報が利用できなかったこと、食事や食事以外に関する交絡因子の可能性、対象者の多くが欧州の白人であり一般化できるかは限定的であることなどを挙げている。
原著論文はこちら Tong TYN, et al. BMJ. 2019;366:l4897.

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