top of page

くめちゃんのつぶやき脳 No.206 ◇ビタミンBサプリのとりすぎは股関節骨折を招く恐れ?

ビタミンB6とビタミンB12を過剰に摂取すると、股関節骨折のリスクを高める恐れがあることが、米国の閉経女性を対象とした大規模研究で明らかになりました。

米国では成人の2人に1人が何らかのサプリメントを使用しているといわれており、日本でもサプリメント愛用者は多くその割合は、年齢上昇とともに高くなっています。

いろいろなサプリメントの中でもビタミンについては、推奨量を大きく超えて摂取しているサプリメント愛好者が少なくないことが知られています。

しかし以前から、ビタミンサプリの高用量摂取が予期せぬ有害事象を引き起こす危険性が示されてきたのも事実。

 今回ノルウェーと米国の研究者たちは、米国の女性看護師を対象とした大規模観察研究のデータを利用して、ビタミンB6とB12の摂取が股関節骨折のリスクと関係するかどうかを検討。

その理由はビタミンB6とB12の両方を治療目的で高用量投与された高ホモシステイン血症の患者において、股関節骨折のリスクが上昇したという報告があったためです。

*ホモシステインは動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞(こうそく)などのリスクを増やす要因として、最近注目されている物質。ビタミンB群が不足していると、体内でホモシステインが増えることがわかっている。逆に、ビタミンB群のうち、葉酸、ビタミンB12とビタミンB6の3種類をサプリメントとして十分に摂取すると、ホモシステインが減ることも確かめられている。

閉経女性7万5864人を、1984年6月から2014年5月まで平均20.9年追跡し、股関節骨折の有無を調べました。

追跡期間中に、2304人が股関節骨折を経験していました(外傷やがんなどに起因するものは除外)。骨折時点の年齢の中央値は75.8歳でした。

 骨折者のビタミンB6の摂取量は1日当たり3.6mgで、ビタミンB12は12.1μgでした。これらは、米国における成人向けの1日当たりの推奨量(ビタミンB6が1.3~1.7mg、B12が2.4μg)に比べて非常に高い値でした(なお、日本におけるB6の1日当たりの推奨量は、成人男性が1.4mg、女性が1.2mgで、B12は性別に関わりなく2.4μgです)。

分析対象となった参加者全体を、ビタミンB6の1日当たりの摂取量に基づいて5つのグループ(2mg未満、2~4.9mg、5~14.9mg、15~34.9mg、35mg以上)に分け、ビタミンB12についても5つのグループ(5μg未満、5~9.9μg、10~19.9μg、20~29.9μg、30μg以上)に分けました。

また、サプリメントのみの摂取量に基づく分類も行って、股関節骨折との関係を検討しました。

 その結果、食物とサプリメントからのビタミンB6の1日当たりの摂取量が最も多いグループ(35mg以上)の股関節骨折のリスクは、参照群(2mg未満)の1.29倍に上昇していました。ビタミンB6の摂取量が増えるほど骨折リスクも増える傾向が見られました。

 同様に、ビタミンB12の1日当たりの摂取量が最も多いグループ(30μg以上)では、参照群(5μg未満)に比べて骨折リスクが1.25倍となり(ただし統計学的有意差はなし)、やはり摂取量が増加するほど骨折リスクが上昇していました。

 食品からの摂取量を除いた、サプリメントからの摂取量に限って分析したところ、やはりビタミンB6、B12の摂取量が多い女性ほど骨折リスクは高くなっていました。サプリメントからの摂取がなかったグループ(参照群)に比べ、ビタミンB6の1日当たりの摂取量が最大(25mg以上)のグループの骨折リスクは1.41倍、ビタミン12の摂取量が最大(25μg以上)のグループでは1.26倍となりました(図1)。

 ビタミンB6は1日の平均摂取量が10mg増えるごとに骨折リスクが2%上昇し、ビタミンB12は10μg増えるごとに1%上昇していました。このリスク上昇は、総摂取量についても、サプリメントのみの摂取量についても認められました(統計学的有意差あり)。

股関節骨折のリスクが最も高かったのは、ビタミンB6とB12の両方を過剰摂取していた人で、1日当たりの摂取量が「B6が35mg以上、B12が20μg以上」だった女性では、「B6が2mg未満、B12が10μg未満」の最低摂取群に比べ、股関節骨折リスクが1.47倍になっていました。BMI 25未満(普通体重または低体重)の女性に限って同様の比較を行うと、リスクは1.71倍にもなりました。

 著者らは、「これらのビタミンの過剰摂取により股関節骨折のリスクが上昇する理由は現時点では明らかではない」としながらも、「ビタミンサプリの過剰摂取には注意が必要だ」と述べています。

コメント

同様の研究はアメリカとオランダでも行われ、同じ結果が報告されています。私のサプリメント講座の中でもサプリメントは期待感から

次第に摂取量が増えて、結果的に過剰摂取になる傾向があることを伝えてきました。サプリメントは使用目的を決めて適正量を摂ることが大切です。

最近ではビタミンCの過剰摂取が問題になっていますので、ともかく適正摂取をこころがけましょう。

原著論文はこちら

 Meyer HE, et al. JAMA Netw Open. 2019;2(5):e193591.

特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page