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くめちゃんのつぶやき脳 No.183 ◇ワイン週に1本の「適度な」飲酒でもがんのリスクは上昇??!!

またまたワイン好きの方には考えさせられる研究報告がありました。

1週間にワイン1本、いわゆる「適度な量」の飲酒であっても、飲酒による生涯のがんを発症リスクをたばこの本数に置き換えると、男性ではタバコを週5本、女性では週10本吸った場合に匹敵するとのことです。

これは今までのアルコールの健康効果の概念を基本から覆す報告であり目を引きます。

これまで喫煙ががんの発症リスクを上昇させることは、よく知られています。

一方、飲酒もさまざまながんのリスク上昇に関係しますが、適量ならむしろ健康に良いなどという報告もあり、実は飲酒の影響の大きさはあまり知られていないのです。

 しかし、これまで、口腔咽頭がん、喉頭がん、食道がん、大腸がん、肝臓がん、乳がんなどが、飲酒と直接関連づけられるようになり、そうしたがんのリスクは、「適度」と言われる飲酒量(*1)でも上昇することが明らかになってきました。

*1 日本の厚生労働省は、「節度ある適度な飲酒量」として、純アルコールで1日平均20g程度という目安を示している。

既に、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)や、世界がん研究基金、米国がん研究協会などは、「がんのリスクを上昇させない、完全に安全だと言える飲酒量はない」との見解を示しています。

 こうした現状を広く英国民に知らせる必要があると考えた英Southampton大学病院のTheresa J. Hydesらは、英国民の生活習慣の調査結果、英国のがん罹患・死亡データ、さらに欧米で行われたさまざまな観察研究のデータなどを利用して、適度な飲酒によるがん発症リスクの大きさを推定し、喫煙の害に例えて示すことにしたのが今回の内容です。

 具体的には、1週間当たりワイン1本に相当する飲酒量が、生涯にわたる飲酒・喫煙関連がんの発症リスクをどの程度高めるかを、全く飲酒しない人と比較して明らかにしました。

さらに、そのリスク上昇幅が、1週間に何本タバコを吸った場合と同レベルになるのかを推定しました。

ワイン1本(750mL)に含まれる純アルコールは約75gで、ビールでは350mL缶を約5本半、日本酒では約3合半に相当します(これらの数字は目安であり、アルコール度数により多少異なります)。

分析対象とした飲酒・喫煙関連がんは、膀胱がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がん、腎がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん、食道がん、口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、胃がんです。

タバコを吸わない人において、週にワイン1本に相当する飲酒習慣がある場合、生涯にわたる飲酒・喫煙関連がんの絶対リスクは、男性で1.0%、女性では1.4%高くなっていました

これは、タバコを吸わない男性1000人とタバコを吸わない女性1000人がこのレベルの飲酒をしていると、飲酒をしなかった場合に比べ、男性10人と女性14人が過剰にこれらのがんを発症することを意味します。

さらに飲酒量が増えて週にワイン3本分のアルコールになると、生涯にわたる飲酒・喫煙関連がんの絶対リスクは、男性で1.9%、女性では3.6%上昇しました。

これは、タバコを吸わない男性1000人とタバコを吸わない女性1000人において、男性19人と女性36人が過剰にこれらのがんを発症することを意味します。

 飲酒によるがん発症リスクの上昇は、男性では主に消化器がん(口腔咽頭がん、食道がん、大腸がん、肝臓がん)の発症増加に起因していました。

一方、女性では、過剰に発生したがんの半分以上が、乳がんでした。

 次に、喫煙が、生涯にわたる飲酒・喫煙関連がんの発症に及ぼす影響を検討しました。

飲酒習慣のない人において、週に10本の喫煙は、生涯にわたる飲酒・喫煙関連がんの絶対リスクを、男性で2.1%、女性では1.5%高めていました。

週30本の喫煙になると、絶対リスク上昇は、男性で7.4%、女性では4.6%になりました。

 週にワイン1本分の飲酒によるがん発症の絶対リスク上昇を、タバコによる絶対リスク上昇に置き換えると、男性では週に5本、女性では週に10本と同等になりました。

1週間にワイン3本分の飲酒の影響は、男性では週に8本、女性では週に23本に匹敵しました

今回の研究によって、「節度ある飲酒」に該当する、週にワイン1本程度の飲酒習慣であっても、生涯に飲酒・喫煙関連がんを発症するリスクの上昇に関係すること、その程度は週に5~10本の喫煙と同等であることが示されました。

特に女性では影響が大きいことも分かりました

飲酒の際は、こうした側面に留意したほうがよいでしょう。

ワインに限らず、飲酒習慣は見直さなければならないのかなあ・・・

悩ましいところ、すべては自身の人生観や健康化から判断するところですね。

結果はすべて自分の責任です。

原著論文はこちら

Hydes TJ, et al. BMC Public Health. 2019 Mar 28;19(1):316.

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