くめちゃんのつぶやき脳 No.178 ◇日本の高齢者、痩せと糖尿病が認知症リスクに
わが国の高齢者において、痩せていること(BMI 18.5kg/m2未満)と糖尿病が認知症発症のリスク因子であり、BMIが低いほど認知症発症率が高いことが、JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study:日本老年学的評価研究)のコホートデータを用いた山梨大学の横道 洋司氏らの研究で示されました。
また、本研究において認知症発症率が最も高かったのは高血圧症を持つ痩せた高齢者で、次いで脂質異常症を持つ痩せた高齢者であったとのこと。
ダイエットばやりですが、やせすぎは認知症発症リスクが高くなるという考えさせられる報告です。
本研究では、高齢者における糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満(BMI 25kg/m2以上)、痩せ(BMI 18.5kg/m2未満)に関連する認知症リスクを比較し、さらにこれらの代謝性疾患とBMIの組み合わせに関連する認知症リスクも調査。
対象は、2010年に健康診断を受けた高齢者(平均年齢73.4歳)で、平均5.8年間追跡した。認知症は介護保険登録を用いて調べ、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、肥満、痩せは、服薬もしくは健康診断結果で評価し、認知症発症率を計算した。
主な結果は以下のとおり。 ・参加した高齢者3,696人のうち、338人が認知症を発症した。
・標準体重で該当する疾患がない人を基準とすると、男女それぞれは,
糖尿病、高血圧症、脂質異常症、および痩せで比較。
・脂質異常症を持たない標準体重の男性と比較して、脂質異常症を持 つ痩せた男性、高血圧症を持たない標準体重の女性と比較して高血 圧症を持つ痩せた女性の、認知症リスクが有意に高かった。
・認知症発症率が最も高かったのは高血圧症を持つ痩せた高齢者で、
次いで脂質異常症を持つ痩せた高齢者であった。
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Yokomichi H, et al. J Diabetes Investig. 2019 Jun 17. [Epub ahead of print]