くめちゃんのつぶやき脳No.118 歯周炎とアルツハイマー病リスクが関連
歯周病が、
・軽度認知障害(MCI)
・主観的認知低下(SCD)
・アルツハイマー病(AD)
のリスク増加の一因となるかどうかを検証した報告がありましたので紹介します。
スウェーデン・カロリンスカ研究所のJacob Holmerらの症例対照研究です。
その結果、辺縁性歯周炎と早期認知障害およびADとの関連が示唆されています。
本研究は、スウェーデンのHuddingeで3年間にわたって実施。
カロリンスカ大学病院のカロリンスカ・メモリークリニックで、連続した154例を登録し、3つの診断群(AD、MCI、SCD)をまとめて「症例」とした。
年齢および性別がマッチした76人の認知的に健康な対照を、スエーデンの人口登録( スウェーデンの住人の重要な出来事「 出生、 死亡、結婚など )の市民登録」)を介して無作為にサンプリング。
すべての症例および対照は、臨床検査およびX線検査を受けた。
潜在的な関連性を調整した分析に基づいて統計解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・対照群より症例群で、口腔健康状態不良および辺縁歯槽骨喪失が多くみられた。
・症例群は、
広範な
辺縁歯槽骨喪失(オッズ比[OR]*:5.81、95%信頼区**間[CI]:1.14~29.68)、
深い歯周ポケットの増加(OR:8.43、95%CI:4.00~17.76)、
う蝕(OR:3.36、95%CI:1.20~9.43)に関連していた。
原著論文
Holmer J, et al. J Clin Periodontol. 2018 Oct 5.[Epub ahead of print]
*オッズ比
生命科学の分野において,ある疾患などへの罹りやすさを2つの群で比較して示す統計学的な尺度です.オッズ比が1とは,ある疾患への罹りやすさが両群で同じということであり,1より大きいとは,疾患への罹りやすさがある群でより高いことを意味する.逆に,オッズが1より小さいとは,ある群において疾患に罹りにくいことを意味する.例えば,ある多型が疾患群100名中の40名で,健常群100名中の20名で認められたとする.このオッズ比は,(40/60)/(20/80)=2.67となる.これは,ある多型において疾患群で出現するリスクが健常群に対して2.67倍高いこととなる.
**95%信頼区間
母集団から標本を取ってきて、その平均から95%信頼区間を求める、という作業を100回やったときに、95回はその区間の中に母平均が含まれる」という意味です。