くめちゃんのつぶやき脳 No.86 脱水症は脳梗塞や肺炎の原因にもなる、健康長寿の大敵③
◇慢性の脱水症が引き起こす7つの病気・不調①
脱水症には急性と慢性がある。
急性の脱水症は、下痢や嘔吐、大量の汗などで急激に体液を失ったときに起こりやすく、その代表例は熱中症や、急性胃腸炎などに伴う脱水症だ。
大人よりも水分の出入りが激しく、自分では症状に気付きにくい子どもは特に、急性の脱水症になりやすい。
急性の脱水症は、点滴や経口補水液で速やかに治療すれば、回復も比較的早い(もちろん、脱水の程度にもよる)。
一方、慢性の脱水症は、日常生活で水分摂取が不足するなどして、徐々に体液が減っていく状態のことを指す。
高齢者に多いのが特徴で、身体の不調はなんとなく感じていても、急激な変化ではないため、本人も周囲の人間も、脱水症と気づきにくい。
気付かないまま、様々な病気の引き金を引いてしまうのだ。
慢性の脱水症を放置すると、次のような病気や症状が起こりやすくなる。
1. 脳梗塞・心筋梗塞 ⇒ 寝ている間の脱水が引き金に
体の中の水分が足りない状態では、血液もドロドロになり、流れが悪くなる。
この状態が続くと、血の塊(血栓)ができやすくなり、脳や心臓に運ばれて細い血管を詰まらせてしまう。
血栓が脳の血管に詰まった状態が脳梗塞、心臓の血管なら心筋梗塞だ。
もともと動脈硬化がある人ほど、脱水をきっかけにこのような病気が起こりやすい。
脳梗塞や心筋梗塞は、朝4時から11時くらいの時間帯に多く起こります。
これは、夜中に脱水症が起こり、それが原因で起床後に脳梗塞や心筋梗塞を発症していると考えていいでしょう。
寝ている間は汗をかく上に、水分摂取ができませんからね。
頻度は少ないのですが、万が一起こると命に関わる病気ですから、脱水の予防は重要と谷口先生は指摘する。
2. 肺炎・気管支炎 ⇒ 脱水が粘膜のバリア機能を低下させる
夏に風邪を引きやすい人は、ひょっとすると脱水症かもしれない。
空気と一緒に細菌やウイルスを吸い込んでも、通常は気管支粘膜というバリアが防御してくれます。
ところがこの粘膜は水分でできているので、脱水症でカラカラになると防御機能がうまく働かず、感染症にかかりやすくなります。
また、水分が足りないと痰が硬くなり、咳で痰を出しにくくなります。
そのため痰と一緒に細菌やウイルスを外に出しにくくなる。
肺炎というと冬のイメージもあるが、夏場の肺炎はけっこう多いとのこと。
谷口先生は、冬の肺炎はインフルエンザなど乾燥に強いウイルスが原因の肺炎が多いのですが、夏場は脱水症でバリア機構が働かなくなったことによる細菌性肺炎が多くなると指摘。