102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.597
あなたの人生が変わる新栄養素講義
糖質の賢い摂取法:過剰や不足が引き起こす老化や筋肉減少を防ぐために③
◇体は糖を貯蔵し、合成する力を持っている
人間の体には、ブドウ糖が不足したときのために、エネルギーを蓄えるためのいくつかの仕組みが備わっています。
まず一つ目は、血液中のブドウ糖(血糖)です。
必要なときにすぐに糖を供給できるように、血液中には一定の濃度でブドウ糖が維持されています。
二つ目は体脂肪です。
血液中のブドウ糖が使われなかった場合、それが中性脂肪に変わって脂肪細胞に蓄えられます。
三つ目はグリコーゲンです。
ブドウ糖をグリコーゲンという形で筋肉に蓄えておき、エネルギーが不足するとこのグリコーゲンを分解して利用します。
さらに、食事で十分なブドウ糖が摂れないときのために、体内でブドウ糖を作り出す仕組みもあります。
この体内でブドウ糖を作る過程を「糖新生」と言います。
材料となるのは主に乳酸、グリセロール、アミノ酸です。
また、果糖も代謝を通じて糖新生に関わり、最終的にはブドウ糖に変わります。
果糖は、果物などに多く含まれる単糖で、フルクトースとも呼ばれています。血糖値はブドウ糖の濃度を測定するので、果糖を摂っても血糖値が上がらないと思っている人は多いかもしれません。
しかし、それは誤解なんですよ。
果糖はまず、小腸の細胞である程度代謝され、ピルビン酸や乳酸といった成分に変わります。
そのため、少量の果糖では血糖値に大きな影響は見られませんが、小腸での代謝が追いつかないほど大量に摂取すると、果糖は門脈を通って肝臓に入り、そこで多くはブドウ糖や中性脂肪に変わります。
また、小腸で吸収されなかった果糖の一部は腸内細菌によって代謝され、その代謝産物として生成された酢酸などの短鎖脂肪酸が体内に吸収され、エネルギー源として利用されます。
果糖だけを大量に摂取することはほとんどありませんが、果物を食べ過ぎると血糖値が上がる可能性があります。
また、「清涼飲料水をよく飲む人は、果糖とブドウ糖が混ざった甘味料(果糖ブドウ糖液糖)を摂取していることが多いかもしれませんので、注意が必要です。
果糖とブドウ糖を大量に同時に摂り続けると、内臓脂肪型肥満や脂肪肝が進行し、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」という状態になることがあります。
これにより、空腹時の血糖値が上昇することも確認されています(Cell Metab. 2018 Feb 6;27(2):351-361.e3.)。
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