102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.596
あなたの人生が変わる新栄養素講義
糖質の賢い摂取法:過剰や不足が引き起こす老化や筋肉減少を防ぐために②
「糖質は他の栄養素と違って、たくさん取れば良いわけではありません。
摂り過ぎると、肥満やむし歯の原因になることがあります。
それに、取り方を間違えると糖代謝が悪化して糖尿病を引き起こすこともあり、さらに動脈硬化や脳梗塞のリスクが高くなる可能性もあります。
中高年になると、こうした生活習慣病のリスクが増えてくるので、「糖質の摂り過ぎに注意しましょう」という意識が高まっているのでしょう。
◇糖質の過剰摂取がもたらす健康リスク
では、糖質を取り過ぎるとどのように健康リスクに影響するのか見てみましょう。
食事で糖質を摂ると、血液中のブドウ糖が増えて血糖値が上がります。
これに対処するために、膵臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖を細胞に取り込む手助けをします。
しかし、糖質を過剰に摂取したり、一度に大量のインスリンを分泌するような食べ方を長期間続けると、膵臓のインスリン分泌機能が疲れてきて、インスリンの分泌が次第に減少し、血糖値が下がりにくくなります。
こうした状態が続くと、糖尿病だけでなく、様々な疾患や体調不良を引き起こす可能性があります。
高血糖状態が長く続くと、体内のたんぱく質や脂質が糖と反応して老化(糖化)しやすくなりますし、体内で炎症が起こりやすくなります。
血管を構成するたんぱく質が老化すると、血管の柔軟性が失われてもろくなり、脳卒中や心筋梗塞を引き起こしやすくなります。
また、臓器の機能低下や神経障害、視力の低下も招く可能性があります。
さらに、インスリンの効きが悪くなることには遺伝的な要因も関係しているかもしれません。
見た目には健康そうでも、痩せていても若い人でも、インスリンの効きが悪い場合があります。
実際に、昔お会いした20歳前後の若い女性受講生がおりました。手がいつも冷たく顔色も生気がないので気になって聞き出したところⅠ型糖尿病とのこと。しかも、インスリン治療もしていないとのことでしたので、1日も早く受診して治療を受けるようお話ししました。
しかし、本人は愛用のサプリメンで治すとの思いが強く、医療機関を受診しないまま、とうとう半年後に還らぬ人になったことを彼女の友人から聞いてびっくりした経験があります。
あの時、もっと強く治療を受けなければならない理由を話すべきだったと今でも悔やまれる体験として記憶に残っております。
さて、数年前に話題になった「血糖値スパイク」という現象も、食後に血糖が急上昇することによって、過剰なインスリン分泌が促され、反応性低血糖につながることがあります。
若い人の場合、自然に改善することもありますが、それでも将来的には糖尿病に移行するリスクが高いようです。
糖尿病になる前段階で、食後に低血糖の症状を訴える人も少なくありません。
特に問題なのは、空腹や眠気を紛らわすために再び大量に食べてしまい、過食や体重増加につながることです。
そうすると、最終的に糖尿病になる可能性が高くなります。
食事をとった後に強い眠気が出る人や、すぐに甘いものが欲しくなる人は、年齢に関係なく注意が必要です。
このような「糖質のとり過ぎ」による悪影響が注目されるようになったため、糖質摂取量を控える食べ方が関心を集めるようになったというわけです。
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