102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.590
あなたの人生が変わる新栄養素講義
健康・長寿に不可欠な「第6の栄養素」食物繊維⑤
◇腸内のさまざまな場所で常に発酵が起こっている
食物繊維と一言で言っても、その形や種類はさまざまです。
例えば、つながった糖の数が3~9個程度のオリゴ糖から、60~100個、さらにはそれ以上つながった多糖もあります。
糖を利用する腸内細菌の中には、糖が3~4個の小さなオリゴ糖をそのまま利用できるものもいます。
しかし、大きな食物繊維の場合、その一部を自分で分解して利用し、残った分は下流に流れて他の腸内細菌が利用します。
さらに、残った分はさらに流れていく…という形で、腸内のさまざまな場所で常に発酵が起こっているのです。
すなわち、川の上流から下流に流れるように、長い腸のいろいろな場所で常に発酵が行われています。
大腸の上流では内容物の水分量が多いため、腸内細菌による発酵が起こりやすいのです。
そのため、オリゴ糖のように腸内細菌が早く消費しやすい食物繊維が大量に入ってくると、一気に発酵が進み、大量のガスが作られると同時に、腸内が強い酸性状態に傾くことがあります。
一度に大量のガスが発生すると、それに伴ってお腹が張ったり、痛みを感じたりすることがあります。
また、浸透圧が高くなることで下痢を引き起こすこともあります。
普段の食事では、特定のオリゴ糖だけが大量に入ってくることはまれだと思いますが、人によってはオリゴ糖を含む一部の食品を多めに食べると、お腹の調子を崩すこともあります。
このように、腸内で発酵しやすい食品をFODMAP(フォドマップ)食品といいます。
具体的には、小麦製品やアスパラガス、タマネギ、ニンニク、イモ類、果物ではスイカやグレープフルーツ、プルーンなどが含まれます。
特に、腹痛と便秘または下痢を慢性的に繰り返す過敏性腸症候群(IBS;Irritable Bowel Syndrome)の方は、一気にガスが発生するような食品を食べると症状が悪化する可能性があります。
そのため、これらの食品の摂取を控える「低FODMAP食」という食事療法が行われます。
過敏性腸症候群でない方の場合は、FODMAP食品を時々食べるくらいならあまり気にする必要はないでしょう。
ただし、特定の食品をたくさん食べるとお腹が張って苦しくなる、痛みが出るという方は、該当する食品を食べすぎないようにすると良いでしょう。
低カロリー甘味料として使われるオリゴ糖やエリスリトール、ソルビトール、キシリトールといった糖アルコールが含まれる食品も控えてみるといいかもしれません。
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