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102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.588

あなたの人生が変わる新栄養素講義

健康・長寿に不可欠な「第6の栄養素」食物繊維③


◇食事が左右する腸内フローラのバランス


3つ目の機能は、腸内細菌による発酵によってもたらされる作用です。

近年、腸内細菌が注目を集めています。

私たちの腸の中には、地球上のどこよりも密度高く菌が住んでいて、私たちの細胞の数よりも多くの

菌が腸に住み着いています。

これらの菌がどのような代謝物を作るかが、私たちの健康に大きく影響することが分かってきたのです。


腸内細菌は、私たちが消化しきれなかった食べ物のカスをエサにして、それを食べることで代謝物を作ります。その代謝物を他の腸内細菌が利用し、さらに別の代謝物を作ることで、腸内環境が作り上げられます。

そのため、私たちがどんな食べ物を食べるかで腸内細菌のバランスが変わってくるのです。

よくできた自然界の循環で、それだけに食選びの大切さが実感されますよね。


食物繊維をたくさん摂る人の腸では、酢酸や酪酸、プロピオン酸といった短鎖脂肪酸と呼ばれる化合物が増えて、腸内が酸性に傾きます。

有害な菌の多くは酸性環境が苦手なので、食物繊維を多く摂ることで、こういった有害菌の増殖を防ぐことが期待できるのです。


また、短鎖脂肪酸などの腸内細菌の代謝物には、腸の細胞の栄養となる成分が含まれています。

これらの成分は、腸のスムーズな蠕動運動や、不要なものが体内に侵入しないように細胞同士の結合を強固にするバリア機能の維持にも欠かせません。

さらに、近年ではこういった腸内細菌の代謝物や菌そのものの成分が、免疫反応や糖や脂質の代謝にも影響することがわかってきました。


水溶性食物繊維は発酵しやすいのですが、不溶性食物繊維の中にも腸内細菌の働きで比較的発酵しやすいものがあります。そのため、最近では水溶性・不溶性という性質とは別に、発酵しやすいかしにくいかで食物繊維を分類することも増えてきました。

発酵しやすい食物繊維のことを発酵性食物繊維と呼ぶこともあります。


私たちがスーパーやドラッグストアで目にする「特定保健用食品(トクホ)」や「機能性表示食品」には、血糖値の上昇を抑える効果や、血中コレステロール値の上昇を抑える効果があるとされています。

これらの食品は主に、水溶性の食物繊維が糖や脂質の吸収を抑える作用を利用したものです。


でも、勘違いしないでくださいね。

実は、こういった食物繊維を摂ったからといって、糖や脂質の吸収を完全に防ぐわけではないんですよ。


以前、食物繊維が鉄分の吸収を妨げると言われていましたが、鉄の吸収阻害が見られるのは1日に30~35gと大量に摂った場合でした。


食物繊維をこのように多く摂る人は気をつけたほうがいいかもしれませんが、多くの人は普段の食事からしっかり食物繊維を摂ることをおすすめします。


血糖値やコレステロールの値が気になる人は、普段の食事でエネルギー摂取量を適切に減らし、食物繊維の多い食材をしっかり食べて、日常的に対策をしていくことが大事です。

トクホなどの食物繊維製品は、その対策をサポートする程度に考えると良いでしょう。




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