102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.583
血糖値が気になる方へ、食後血糖値が上がりにくい食べ方④
◇食後の血糖値の上がり方は人によって異なる
今回の研究では、参加者のHOMA-R(ホーマ・アール)とHOMA-β(ホーマ・ベータ)という項目についても調べられました。
どちらも健康診断や通常の人間ドックなどでは調べない項目ですが、高血糖のタイプを探るためにはとても大切な情報です。
HOMA-Rはインスリン抵抗性(インスリンの効きにくさ)の有無を示す指標です。
この数値が1.7以上になると「インスリン抵抗性がある」とされます。
つまり、インスリンは出ていたとしてもインスリン作用を得にくいということです。
一方、HOMA-βはインスリン分泌能力の指標で、これが30%以下になると「インスリン分泌能が低い」とされます。
持続血糖測定センサーによる1日の血糖の変動を見ると、「食後に急に上がる」「ゆるやかに上がる」とか、「昼だけ高い」「夜にとても高くなる」とか、血糖が上がる「山」の形が一人ひとり違いましたが、それにはインスリンの効きにくさや分泌能力なども大きく関係していることが分かります。
例えば、糖尿病レベルにある人の食後血糖値は200mg/dLを超えることもしばしばありますが、糖尿病レベルに至っていない予備群の段階であった今回の参加者の中にも食事をするたびに300mg/dLを超える人がいます。
その方はHOMA-Rが2.2を超えており、非常にインスリンが効きにくい状態でした。
典型的な「非肥満の糖尿病」の方もいます。
先の分類でいえばFのタイプです。
BMI(Body Mass Index=体格指数。体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数字。日本肥満学会では22を「標準体重」としており、18.5未満を「低体重」、18.5~25未満を「普通体重」、25以上を「肥満」と呼ぶ。)が20.5で太ってはいないけれど、ALT( 肝臓に含まれる酵素。この数値が30(U/L)を超えていたり、同じく肝機能の指標となるASTよりも高い場合は脂肪肝などが疑われる。)が高くて脂肪肝があると考えられる人。
HOMA-Rは低いのでインスリン抵抗性ではないと考えられるのですが、HOMA-βが低く、インスリン分泌能が低いことが疑われます。
ゆるやかに血糖上昇するような食事内容でも、この方はインスリンが出にくいので食事をするたびに血糖値が急角度で上がっていました。これでは血管もダメージを受けるでしょう。
このように、血糖値の変動で描かれる「山」の形は一人ひとり違います。
参加者の皆さんには自分の血糖値の曲線を見て、「どんなときに、何を食べたときに血糖値が140mg/dLを超えているのか」をチェックしてもらい、血糖を必要以上に上昇させる食べ方を避けるように注意が促されています。
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