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102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.554

あなたは大丈夫? 加齢とともに低下する噛む力、飲み込む力④

◇噛む力や飲み込む力の低下は生活の質の低下につながる


これまでの記事をお読み頂いた方は、しっかり噛み、飲み込む力が栄養の消化・吸収にいかに大切かが理解できたのではないでしょうか。


さらに、噛む力と飲み込む力が最も大切な理由は、実は、好きなものを食べ続けられるという点です。

食事は、単に「栄養を摂取する」ための行為にとどまらず、味や香り、彩りを楽しみながら、精神的な満足感を得ることができる生活習慣でもあります。


噛む力と飲み込む力を失ってしまうと、自分が食べたいと思うものを存分に食べることができなくなり、本来食事から得られる充足感も得られなくなってしまいます。


私は想像しただけで気力はなくなりそうです(^^)/


 噛む力や飲み込む力が衰えると、明確に食事量が減少し、食習慣が変化し、栄養不足につながります。

それによって生活習慣病のリスクが上がるだけでなく、体力の低下をもたらし、外出するのがおっくうになってくるという負の連鎖を起こす可能性が高くなります。外出が制限されると、生活の質(QOL:Quality Of Life)の低下につながることは明らか。


また、外出が減ることで、コミュニティからの孤立といった問題も生じる。

噛む力と飲み込む力はQOLに大きな影響を与えるのです。


また、噛む力と飲み込む力を保っているうちは好きなものを食べられるが、低下すると様々な制限が必要となり、そこから生まれるストレスも計り知れない。

 

例えば、噛む力が低下すると、「きざみ食」と呼ばれる5mm~1cmに刻んだ食事を余儀なくされる。


飲み込む力が低下すると、「嚥下調整食」と呼ばれる食材を軟らかく調理したものやミキサーにかけたもの、ゼリー状にした食事が必要となる。


おいしくなるように作り手が工夫したとしても、見た目が通常の食事とは異なってしまうため、食欲が湧かず、食事量が減る人も多い。


もし、このレベルまでの制限は必要ないとしても、今まで食べられていたものが徐々に食べられなくなるストレスは大きいでしょう。


 噛む力や飲み込む力が低下すると、気づかないうちに糖質摂取量の割合が高い「糖質偏重食」になりやすいことにも注意が必要です。


噛む力が低下したときに、おかゆや軟らかいうどんなど炭水化物で食べやすい食事は思いつきます。


しかし、肉を軟らかく作ろう、野菜を軟らかく作ろうと思いつく人はあまりいないでしょう。

実際に、糖質偏重食を続けていると、糖尿病を招く可能性があります。


さらに、たんぱく質不足により免疫力が低下し、感染症にかかりやすい体となってしまう。


特に一人暮らしでは食事がおろそかになる傾向があるため、肉が食べられなければ煮魚を食べる、野菜はゆでこぼすなどの工夫をして糖質偏重食にならないように気をつける必要があるのです。


 ここまで、噛む力や飲み込む力を維持する意義や失うことによる悪影響を解説していましたので、次回からは、これらの力が低下したときに現れるサインや初期症状について解説していきます。




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