102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座No.548
油の新常識! いい油と悪い油の違いって③
◇体にいい油の“機能”は腸内細菌と共同で引き出す
少し前まではダイエットの敵といわれ、生活習慣病を助長すると考えられていた「油」も、今や健康に役立つとして見直されつつあるのです。
でも、どんなに“体にいい油”といわれるものでも、とり方を間違えれば逆効果です。そこで、体にいい油と悪い油の違い、どう使うといいのかについて、最新研究からわかってきたことを紹介していきます。
健康にいいとオリーブオイルやアマニオイルなどが「機能性オイル」として人気を集めています。
こういった油によってもたらされる機能は、主要成分である脂肪酸の構造やポリフェノール成分などが脂に含まれる成分に由来するものと考えられてきました。
しかし、油最新の研究から、腸内細菌によって引き出される機能があることもわかってきたのです。
例えば、α-リノレン酸の多いアマニオイルの摂取により、食品アレルギーやアレルギー性鼻炎などの発症や炎症を抑える働きが確認されているが、この作用は、α-リノレン酸をとると体内で産生されるEPAという脂肪酸がさらに代謝されてできるEpETE(イーピーイーティーイー)という物質に起因します。
この物質は、ヒトの体の中での反応によるだけでなく、腸内細菌や発酵食品に含まれる微生物によっても作ることができることがわかってきました。
これを医薬品などの開発にも役立てられないかと研究が進められているのです。
また、以前はとりすぎるとアトピー性皮膚炎やアレルギー、動脈硬化などの原因となる炎症を引き起こすといわれたリノール酸も、腸内細菌による代謝で、食欲や血糖値の抑制に関わるホルモンの分泌を促進したり、抗炎症作用や肥満抑制に働く作用を持つ成分に変化することが確認され、注目を集めています(図参照)。
つまり、いい油を利用できるかどうかは、遺伝子によって決まる体質だけでなく、どういった腸内細菌がいるかで変わるということです。
ヒトと腸内細菌が協力しあって健康な体を作っていることが分かってきました。
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